2014 Fiscal Year Annual Research Report
Sawah 技術のODA破壊的イノベーションによる内発的なアフリカの緑の革命実現
Project/Area Number |
25257405
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
若月 利之 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (50127156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (10325045)
佐藤 邦明 島根大学, 生物資源科学部, 助教 (60533289)
増田 美砂 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70192747)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アフリカの緑の革命 / Sawah technology / 農民の自力水田開発技術 / アフリカ水田農法 / アフリカ氾濫原農法 / 水田仮説1と2 / 国際研究者交流 / ナイジェリア:ガーナ:インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
ナイジェリア北西部Kebbi州のSawah技術の普及状況を6-7月に調査した。先行の特別推進科研(2010-2011年度)により「大規模氾濫原で2台の耕耘機でSawah技術のOnTheJob訓練実施」を受けて、州内のArugungu等の4地域で、農民グループが18haの自力水田開発を行い、合計12.8トン(平均籾収量7.1t/ha)を実現した。州知事Dakingariは、2013年9月、首都Abujaの経済サミットで、この成果をRice Revolutionと呼んだ。農民は2014年5月末までに、22台の耕耘機を自費購入し、年間水田稲作面積(雨季と乾季合計)を326haに拡大し、2104トン(6.5t/ha)の籾生産を実現した。これを受けて州政府は1000台の耕耘機を購入し、2015年3月末の大統領選挙後から、1万ha規模の水田開発と整備プロジェクトを開始した。内陸小低地をターゲットとしてきたSawah技術は大規模氾濫原でも展開できるようになり、谷地田農法からアフリカ水田農法に進化した。2015年1月に農業省のSawah技術普及予算が国立農業機械化センター(NCAM)に初めて措置され、NigerとKogi両州で開始された。アフリカ稲作センターによるSawah技術の社会実装はトーゴとベナンに加えリベリアにも拡大する予定であったが、エボラ病で中断した。一方、ガーナではSawah技術の社会実装は停滞している。この要因は関連する日本側研究者と普及機関(科研チーム、JIRCAS、JICA)の連携の不調、ガーナ側研究機関(CSIR傘下のSRIやCRI)と普及とODAの実施機関(食料農業省)の連携の不調(実際には競合の発生)によると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アフリカ水田農法(Sawah技術)の社会実装が進展しつつあるナイジェリア、先行の研究成果は一番上がったように見えたガーナでの停滞、国際機関AfricaRiceが主導しているトーゴやベナンでの成果、その他の多様なアフリカ諸国への社会実装の小さな芽等、社会実装研究として多様な成果が得られる期待が大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
アフリカ諸国の稲作の発展が水田システムの進化段階に対応しているように見えるが、この科学的な実証。ナイジェリアのKebbi Rice Revolutionのフォローアップ調査の実施。2015年1月から始まったナイジェリア農業農村開発省の独自予算によるNigerとKogi州両州でのアフリカ水田農法の社会実装のサポート。ガーナでの実装が停滞している原因の技術的、社会経済的要因の解明。チャド等、西アフリカ最大の氾濫原湿地を有する国でのアフリカ水田農法の適用による難民の定住促進への貢献。
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