2016 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of potential productivity of soybean in tropical environment and investigation of adaptive
Project/Area Number |
25257410
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (30154363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 圭佑 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20432338)
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 教授 (30144348)
田中 朋之 (勝部朋之) 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50224473)
田中 佑 京都大学, 農学研究科, 助教 (50634474)
中崎 鉄也 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60217693)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
鄭 紹輝 佐賀大学, 農学部, 教授 (90253517)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ダイズ / 収量 / 適応性 / 高温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)熱帯地域におけるダイズ生産の環境応答の実態解明、(2)適応性遺伝子源の探索と評価、および(3)モデルシミュレーションによる潜在生産力の評価および環境適応形質導入効果の予測、の3つの部分からなる。 (1)熱帯地域におけるダイズの環境応答の実態解明では、気象統計による解析が前年までに完了しているので、本年は実施していない。 (2)適応型遺伝子源の探索では、前年までに行ってきた世界のダイズミニコアコレクションの評価(ボゴール農科大学、コンケン大学)の結果を解析し、収量およびその安定性はともに、それぞれの試験値の栽培品種でもっとも高いこと、日本品種はともに最も劣ること、および米国品種は環境によって日本品種なみから熱帯品種と同等の収量を示すことがあること、が明らかになった。また、コンケンにおいては開花まで日数が収量を大きく規定するが、それは生育期間だけでなく年次や作期によってことなる一時的不良環境(大雨および干ばつ)の発生時期とダイズの開花結莢期との関係にもよることが示唆された。日本産・米国産品種をインドネシア産を含む熱帯産品種とともにボゴール農科大学農場において栽培し、その蒸散特性および物質生産を精査した。その結果、前年までに明らかになった熱帯産品種の生育期間あたり乾物生産の優位性には、群落の日射利用効率および蒸散活性の高さと関連しており、そのことは熱帯産品種の個葉レベルの気孔コンダクタンスおよび気候密度の高さと対応していた。 (3)モデルによる潜在生産力評価では、生育期間にきわめて高温となるアフガニスタンにおける気候生産力を、ダイズ生育モデルに適用するために、同地域の気象データセットを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(2)適応型遺伝子源の探索に関して、熱帯産品種の温帯産品種に対する優位性には蒸散特性が関わっていることが示唆されるとともに、温帯産品種の中でも熱帯環境下での収量および品質の安定性に変異が存在し、米国産新品種DS25-1がとくに優れることが明らかになった。これにより、熱帯環境適応性遺伝子源として有用と思われる品種を見出すことができた。 (3)モデルによる潜在生産力評価では、生育期間にきわめて高温となるアフガニスタンにおける気候生産力について、初歩的なモデル解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(2)適応型遺伝子源の探索では、熱帯産品種からTangammus,温帯産品種からエンレイ、フクユタカ、丹波黒、DS25-1を選び、それらの群落蒸散特性および物質生産について補足実験を実施する。すなわち、群落の発達程度を極力同様にして蒸散・物質生産特性を測定することとし、そのために温帯産品種に日照処理を施す実験を行う。 (3)モデルによる潜在生産力評価では、生育期間にきわめて高温となるアフガニスタンのカンダハル地方を対象にして、当地での気候生産力を、異なる早晩性の品種、4月から8月までの播種期、および品種の蒸散特性を変えた場合の効果について、モデルシミュレーションを実施する。
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