2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25257411
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (60270899)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (30324552)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / 東南アジア / インドネシア / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
伐採や火災など人間活動の影響によって、東南アジアの森林は急速に消失・劣化し、地域環境や地域経済に深刻な影響が出ている。早急な対策が望まれているものの、熱帯地域での森林再生は難しく、課題解決のめどはたっていない。本研究課題では樹木の根に共生する微生物である菌根菌に着目し、これを活用した持続的な熱帯林施業を実現するための学術的基盤整備を目的としている。これまで温帯地域を中心とした研究によって、菌根菌との共生が樹木の養分吸収と成長に不可欠なこと、1つの森林には多種多様な菌根菌が存在すること、菌種のよって樹木に与える影響は大きく異なること、菌根菌の種組成は地域や樹種、環境によって異なることなどが明らかにされている。しかし、熱帯地域での関連する知見は極めて乏しい。 平成25年度は、インドネシア(ボルネオ島、ジャワ島)とタイ(地域情勢の悪化によって平成26年度に繰り越して実施)の森林において現地調査を行い、菌根や子実体サンプルを採取した。DNA解析によって菌種を同定し、どのような菌根菌が生息しているのかについて明らかにした。更に詳細な群集構造解析や他地域の近縁種との系統関係などについて解析を実施中である。採取した菌根などから菌株の単離を行い、スマトラマツに共生するヌメリイグチ属やショウロ属の菌株を得ることができた。これらの属は、温帯地域のマツ林において実生の定着や成長促進に重要な働きをすることが知られており、スマトラマツの森林施業においても活用できる可能性があり、重要な成果といえる。伐採や攪乱後の樹木実生が定着するためには、土壌中に存在する菌根菌の埋土胞子が重要だと考えられるため、採取した土壌サンプルを用いたバイオアッセイ試験を現地で開始した。さらに現地の研究者を日本の研究室に受け入れて解析技術指導を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の研究は現地国の治安状況悪化によって延期したが、翌年度に予定通りの現地調査を実施できた。これまでに東南アジアの菌根菌について十分な塩基配列情報や菌株が集積できており、順調な進行状況と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り研究を実施する。
|