2016 Fiscal Year Annual Research Report
国際河川・青ナイル川流域における土壌侵食・土壌流亡緩和のための土地管理
Project/Area Number |
25257417
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
恒川 篤史 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (60227452)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Haregeweyn N 鳥取大学, 国際乾燥地研究教育機構, 特命准教授 (30754692)
DAGNACHEW AKLOG 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (40403381)
|
Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2018-03-31
|
Keywords | エチオピア / 土壌侵食 / 青ナイル川 / 持続可能な土地管理 / 対照流域法 / 流出係数 / トレンチ / 小流域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主たる成果は以下の通りである。 第一に、異なる農業生態環境下での土壌・水保全策の効果をプロット実験を用いて分析した。土地利用型や斜面の傾斜の違いに応じた実験プロットを設置した。3種類の土壌・水保全策(ソイルバンド、ファニャジュ、植栽されたソイルバンド)を導入した農地での流出削減効果は32~51%向上した。湿潤亜熱帯の高地(Guder)では植栽されたソイルバンドと草地でのトレンチがもっとも高い流出削減効果を示した。プロット間での流出応答の差は大きく、土壌・水保全効果も大きく異なった。 第二に、湿潤亜熱帯の高地で土壌・水保全策への流出応答を分析した。5種類の土地利用型と2種類の斜面傾斜に対して土壌・水保全策が異なる18の実験プロット(30m×6 m)を設置し、日単位の降雨・流出量を計測した。土壌・水保全策の流出削減効果を流出曲線指標(CN)モデルを用いて分析した。土壌・水保全策を導入した土地では流出が大きく削減された。 第三に、さまざまな土壌・水保全策に対する流域スケールの流出応答を分析した。土壌・水保全策が広く導入されている小流域(Kasiry)と、それに隣接し、土壌・水保全策がほとんど導入されていない小流域(Akusity)における流出応答を比較した。このふたつの小流域間で、土壌・水保全策の効果は他の要因に隠れ、明確な識別は困難だった。さらにKasiry小流域を対象にCNモデルを用いて、異なる将来シナリオに対する流出削減効果を検討した。その結果、農地でソイルバンド、放牧地および植林地でトレンチを導入すると、小流域全体で最大34% の流出削減が可能であることが示された。一方、低木地や天然林での土壌・水保全策の導入はほとんど効果が認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エチオピアでは治安が悪化し、非常事態宣言の発令等、政府が対応しているが、調査対象地に行くことが困難な状態の時期があった。そのため調査・観測が予定に比べてやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
治安の状況を見極めながら、安全に留意しつつ、研究サイトである三つの流域における土壌・水文学的調査研究を進める。
|