2016 Fiscal Year Annual Research Report
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25280048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 剛 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (60404802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 貴徳 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (00464602)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 暗号・認証等 / 公開鍵暗号 / ペアリング暗号 / 離散対数問題 / 大規模計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ペアリング暗号の安全性の根拠となる拡大体上の離散体問題の困難性を考察している。国際会議CRYPTO 2016において、KimらはexTNFSと言われる拡大体上の離散対数問題を漸近的に高速に解くアルゴリズムを発表した。本年度は、ペアリングフレンドリ曲線BLS-24, KSS-32, KSS-36, BLS-42, BLS-48に対して、Kimらの手法に従って256ビット安全性を実現するペアリング暗号の鍵長を評価した。ペアリング暗号が256ビット安全性を持つためには、およそ26,000ビット以上の鍵長が必要であることが判明し、従来256ビット安全性に必要とされていた14,000ビットの鍵長よりも、10,000ビット以上大きい値となった。更に、昨年度にIACR ePrintで発表した3次元版のFranke-Kleinjung格子篩法を実装し、通常の線篩法および格子篩法との速度比較を行なった。これらの結果は、2017年暗号と情報セキュリティシンポジウムSCIS 2017で3件の論文として発表した。 一方、ペアリングを利用した暗号プロトコルの研究も進め、鍵の失効が可能となる強偽造不可能なIDベース署名(Security and Communication Networks)、効率的な否認認証暗号方式とその電子メールへの応用(IEEE Transactions on Information Forensics and Security)などを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、CRYPTO2016で発表された高速数体篩法exTNFSの対して256ビット安全性を持つペアリング暗号のパラメータの選択方法を考察した。更には、ペアリング写像を利用した暗号プロトコルに関してジャーナル論文2編(Security and Communication Networks, IEEE Transactions on Information Forensics and Security)を発表するなど、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、固定したビット長に対する数体篩法exTNFSの計算実験も含めた計算量評価を考察する予定である。更には、H28年度に検討した256ビット安全性を持つペアリング暗号の性能評価を行なう。
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Causes of Carryover |
本研究では、ペアリング暗号の安全性評価のために、離散対数問題の困難性に関する解読実験を実施している。平成28年8月に開催された国際会議CRYPTO 2016において、拡大体上の離散対数問題を高速に解読するexTNSF法が提案された。これにより、ペアリング暗号の安全性を再評価する研究計画の大幅な変更があり、平成28年度に計画していた計算機購入や出張等を平成29年度に実施する必要が出てきた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、ペアリング暗号の安全性評価を目的として、数体篩法の高速化手法であるexTNSFを実装するための計算機サーバを購入する予定である。計算機サーバでのプログラミング補助として、大学院生によるアルバイト謝金も計上している。更には、それらの実装データ及び安全性評価を論文としてまとめ、国際会議で発表するための旅費が必要となる。
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