2014 Fiscal Year Annual Research Report
広域災害の被害状況および復旧・復興を可視化する市街地の時空間モデリング
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25280054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡谷 貴之 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00312637)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コンピュータビジョン / 東日本大震災 / 都市の時空間変化 / 多視点幾何学 / 全方位カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では,カメラを搭載した車両にて路上を走行しつつ市街地映像を撮影することを,日時を変えて繰り返して得られる時系列画像列を元に,市街地の時空間変化をモデリングする方法の実現を目指している. 研究開発するモデリング手法の適用対象として,東日本大震災の被災地を考えており,その目的で復旧・復興状況の映像記録を作ることを行ってきている.当該年度においては,この映像記録活動を交付申請書通りの方法・スケジュールにて実行し,順調にデータを蓄積している.これまでの分と併せ,研究室内に設置した高い耐故障性を持つハードディスク装置に安全に記録し,保管している. モデリング手法については,二つの方法を新たに開発した.一つは,地上視点の映像と衛星画像などの上空視点の映像を融合し,また幾何学的手法ではなく,画像認識の方法論によって,市街地の状態を推定する方法である.被災直後の都市全体の車載画像および衛星画像を用いて,瓦礫の分布を推定できることが実験を通じて示された.もう一つは,市街地の同じ通りを異なる時刻に車載カメラで撮影して得た2つの画像系列を元に,それらの時刻間の市街地の形状変化を推定する新たな方法である.従来の多視点ステレオ法ではこのような条件下でシーンの形状を精度よく推定することは困難であるが,奥行きを点推定する代わりにその分布を推定し,奥行きの変化の有無のみをベイズ推定の枠組みで判断するというやり方により,シーン変化の有無を高精度に推定できることが実験を通じて示された. 以上の成果のうち2つは国際会議にて発表し,うち一つはBest Application Paper Honorable Mentionを受賞した.この研究は論文誌への投稿を完了し,査読中である.更にもう一件の研究成果を,国際会議に投稿するすべく準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災被災地の画像撮影をおおむね予定どおり行えた.また,都市の地図情報と車載全方位画像を組み合わせて建物の変化検出を行う方法を完成させ,その成果を国際会議で発表した.さらに,衛星画像と車載画像を組み合わせることで,市街地の状態を推定し,さらにその時間変化を可視化する方法を完成させ,国際会議にて発表を行った.引き続き,大量の全方位画像系列から,画像認識のための画像特徴を有効に活用することで,市街地の変化を高速に検出できる方法を研究開発に着手し,その最初の成果を国内研究会にて発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で,問題に取り組むうちに新たな着想を得て,当初計画になかった新たな手法の開発に取り組み,良い成果を挙げることが出来た.このまま様々な可能性を探求し,当初計画の範囲を質的にも量的にも超える成果をまとめられるよう,最終年度の研究に取り組みたい.
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Causes of Carryover |
研究計画当初にはなかった新しいカメラやセンシングデバイスが製品化され,利用可能になってきたことから,本計画が目指す東日本震災被災地の映像記録をより高度な形で残すためのシステムを,新たに実現することを優先すべきと考え,これを次年度に実施するため.また,当初計画の範囲になかったが,より重要な研究(衛星画像と車載画像の組み合わせによる市街地状態推定,および画像認識のための画像特徴を利用した高速な市街地変化検出手法の開発)の着想を得,当該年度の研究計画を若干軌道修正したことも要因の一つでる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費の主な部分は,上述の新たな映像記録撮影システムを構築するために使用する.加えて,新たに着想した研究課題への取り組みにかかる経費としても使用を予定している.
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Research Products
(5 results)