2013 Fiscal Year Annual Research Report
空間を超越するインタラクティブ聴覚拡張システムの研究
Project/Area Number |
25280060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武田 一哉 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (20273295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 陽一 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80647496)
西村 竜一 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所, 研究マネージャー (30323116)
西野 隆典 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40329769)
猿渡 洋 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (30324974)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空間音響 / 超臨場感通信 / マイクロホンアレイ / 音場操作 |
Research Abstract |
多チャンネルマイクロホンの受音信号の分散・共分散行列の潜在次元解析をシミュレーション環境下で行い、潜在次元が高いほど目的音受音性能を高められることを示した。また、受音バフル形状として球面調和関数の解析を行い、雑音抑圧に有効なステアリングベクトルの最適な基底系について解析を行った。これらの研究から、多数のマイクロホンで取得された音場を、ガウス過程でモデル化する着想が生まれた。音場をガウス過程で表現することは、分散共分散行列としてフルランクのパラメトリックな行列を仮定することに相当する。この考えに従って、音場のモデル化を行う実験を開始した。 研究基盤となる室内音響伝達特性の計測を進めた。先ずマイクロホンアレイの位置を固定し、音源位置を極座標上に多数取得することで、室内を被覆するデータベースとした。従来技術(音源数未知FDICA、HRTFの実時間畳み込み)を整理し、「音源信号位置を陽に推定することで指定した受音位置での空間印象を再現するシステム」を構築した。このシステムを用いて、聴覚実験を行い、音源移動の知覚限と音量変化の知覚限とを実験的に比較することで、音源変化の認知特性を計測できることを確認し、システムがインタラクティブな受聴システム評価のベースラインとして機能することを確認した。さらに、HRTFのパラメトリック表現と耳介形状に関する精密な対応モデルを作り、これをパラメータとしてHRTFを選択することで、異なる立体感を被験者に与えるシステムを実装し、聴覚試験を開始した。 研究成果をまとめるために、2回の研究会合を行い、分担者間で研究内容の議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の基礎となるインタラクティブ聴覚操作システムを構築し、聴覚実験によりその有効性を確認することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
計測された室内音響伝達特性群の分析から、「どのような音響空間操作がどのような行列操作により実現可能か」を実験的に明らかにする。これらの操作行列群の潜在次元を明らかにし、交代行列や拡大行列を、当該部分空間上で実現することで、音源の空間印象が操作可能なことを確認する。シミュレーション解析結果に基づき、最も拡散効率の良い(=潜在次元数の高い受音が可能な)不整形マイクバフルマイクを試作し、その性能を計測し解析結果を実験的に検証する。空間操作行列の潜在次元に合わせた、音源信号の推定分離を可能とするために、指定された分解能で音源信号を分解する「パラメトリックICA」を開発する。計測HRFTに、モデルから生成されたHRTFを加えた大規模なHRTF群を用いて潜在次元解析を行い、利用者が調整可能なパラメトリックHRTFを構成する。各班の進捗に応じて研究結果を統合して第2期のインタラクティブ聴覚拡張システムの構築を行い、主観評価実験により有効性と問題点を明らかにする。 平成26年27年の夏にパラメトリック音響空間創成に関するワークショップを開催する。研究の成果を発表するとともに、広く議論を行う。第2回のワークショップでは、さらに残された課題を明らかにし新しい研究領域の創成を目指す。
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