2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波を用いた新しい動作計測システムの提案と能楽を対象とした検証
Project/Area Number |
25280065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森田 寿郎 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (30329081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 一博 東京大学, その他の研究科, 教授 (60262101)
土井 靖生 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (70292844)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報システム / 人間情報学 / 人間計測 / 動作計測 |
Research Abstract |
研究項目1:10GHz帯の小型発信器の開発を,協力企業である(株)R&Kとの連携の下で行った.10GHz発信素子としては、位相雑音の小さい高精度の素子が求められるが、一方で実用目的からは小型・安価・低消費電力等の特性が求められる。複数の素子を比較・検討し、発信素子の選 定を行った。選定した発信素子にPN符号拡散機能を追加した、発信システムの製作を行った。研究開発の最終目標としては発信素子ドライブ回路を含め専用回 路を製作し、これを10GHz送受信パッチアンテナのサイズである2cm角程度の大きさに納める事が目標である。今回はその第1ステップとして、汎用の電子素子を用いた回路を組む事で、大きさ10cm×6cm×2cmのケースに回路・電源を含む発信機の全体を収めた小型・可搬の発信機の製作に成功した。製作した送信機 を既存の受信器と組み合わせ、PN符号拡散を掛けないCW発振状態での性能実証を行った。この受信器は、関連科研費である 挑戦的萌芽 課題番号24656251「マイクロ波高精度多点測位技術の開発」にて開発・製作を行ったものである。この科研費では、この受信器に市販の汎用発信機からの 10GHz搬送波を受信させ、測位性能実証を行った。今回専用の小型・可搬発信機を用い、受信器と組み合わせた測位試験により、これまでと同様、1mmの測位精度、10kHz程度までの高周波測位(送信1チャンネルの場合)の開発仕様を十分に満たす性能を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目1:昨年度研究計画の内、PN符号拡散機能を有する小型送信機の開発を完了し、且つその搬送波を用いた測位性能実証を達成した。一方 PN符号逆拡散機能を有する受信器システムの開発は未達であり、その為スペクトラム拡散を用いた多点の同時測位機能の実証はこれからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目1:昨年度未達である、PN符号逆拡散機能を有する受信器システムの開発を早期に行う。未達理由としては送信機側の10GHz発振素子の選定を慎重に進めたためであり、この開発は既に完了している為、今後受信器システムの開発を行うに当り新たな困難は予想されない。受信器開発手順としては、先ず現有の受信器システム(PN符号逆拡散機能無し、受信システム1台を受信アンテナ4ch間で時系列に使用)にPN符号逆拡散機能を追加し、PN符号拡散を用いた多点同時測位システムの原理実証を行う。原理実証の後、より実際的な測定実験を行う為に専用の受信器を製作する。この受信器には、これまでの実験結果を反映し、オートゲインコントロール機能、PN符号位相ロック機能、位相角演算機能を持たせ、この事によりシステム実用化の際には数十点~数百点のリアルタイム測定が無理なく行える装置構成とし、且つその動作実証を行う。以上のシステムを用い、実際に人体に装着した動作計測を1)着衣しない状 態で通常の磁気式または光学式モーションキャプチャ装置による計測データとの比較による精度検証,2)激しい動きの計測/ゆっくりした動きの計測,単独での計測/複数人での計測,屋内・屋外等様々な測定環境下での計測,等様々な条件での計測によるシステムの動作検証を行う.また検証したシステムについて,知財管理の為の特許取得を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究項目1の10GHz帯の小型発信素子について、高精度の測位性能を小型可搬の発振システムに於いて達成する、高性能素子の選定を行う必要があった。この為複数の候補から慎重な選定を進め、その為に送信機の製作に想定以上の時間がかかり、引き続き受信器システムの製作を行うと製作期間が年度を跨ぐ恐れが生じた。その為平成25年度については送信機製作のみとし、平成26年度初頭から受信器製作を始めることとし、従って受信器製作費を当初予定の平成25年度から平成26年度へとシフトする事となった。 研究項目1の内、昨年度未達の現有受信器に対するPN符号逆拡散機能の追加を早期に行う。PN符号発生、逆拡散機能については新たな困難は予 想されない為、製作を遅滞無く行えると考える。機能追加作業完了の後、引き続き今年度予定である専用受信器システム(複数チャンネル同時受信可能)の製作を行い、全システムの開発及び測位原理実証の全体を完了する。
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