2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25280071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
暦本 純一 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (20463896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | テレプレゼンス / 知覚伝送 / 人間機械協調 / 触覚インタフェース / 仮想力覚 |
Research Abstract |
本研究は、人間と異なる能力や運動特性を持つ対象物(機械、あるいは他の人間)と、人間とをネットワークにより接続し、遠隔地における作業支援など、人間の能力を向上させることを目的とした、人間拡張型のテレプレゼンス技術を研究している。従来のテレプレゼンスやテレイグジスタンス研究が、人間と同等のロボットを操作することを主に目的としているのと対称的に、本研究では人間との差分をゆるす際の人間=機械システムとしての特性を明らかにし、工学的解決を与える。 初年度は、人間と異なる能力を持つ人工物として自律型クアッドコプター(Drone)に着目し、クアッドコプターによる飛翔型テレプレゼンスシステムの研究開発を行った。Droneはロボット産業の重要なプラットフォームとして近年注目度が増しており、従来のヒューマノイドや車輪型のロボットとも異なる広範な応用が期待できる。本研究ではDroneに搭載されたカメラと操作者の視覚と頭部搭載型ディスプレイにより接続し、操作者の身体運動をDroneの運動に反映させる。この機構により、利用者は自分があたかも飛翔能力をもつような感覚を持つことができる。さらに、身体行為をより拡張するようにDroneの運動制御を行う研究を行った。たとえば利用者の跳躍距離をDroneの運動に拡大して反映させることで、利用者が仮想的に高い跳躍能力を持つようにふるまうことができる。この技術は、たとえば利用者が専門家でDroneが被災地を検証するような場面に適用することができ、社会的にも利用価値が高いものであると考える。また同時に遠隔地観光などの産業創出にも寄与できる。 今年度は同時に、人間と人間を接続する拡張型テレプレゼンスの研究も計画に先行しておこなった。これは頭部搭載カメラを装着した利用者Aを、遠隔地から作業支援するもので、複数の人間が協調する場合の新しい接続形態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度において、人間と人間を接続する形態の研究が予想以上に進捗した。対外発表を行い、最優秀論文賞などを受ける成果が出た。今年度の成果に基づいて、次年度は人間の感覚をより包括的に伝送し、複数の人間の感覚を融合させる研究として進展させることが可能になった。したがって当初の予定以上に研究が進展していると判断する。さらに、人間と人間を接続する際の視覚的なフィードバックのみならず、触覚フィードバックを行う際にに、従来の触覚フィードバックでは困難であった力覚を仮想的に与える仮想力覚の機構を発見した。これは本研究提案の構成要素としても利用価値があるとともに、将来的には独立した研究テーマとなり得る可能性を持っている。この発見も今期の研究進展が計画以上であったとする理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に、無人機Droneによる飛翔型テレプレゼンスシステムの基本部分を構築した。今後は、このシステムの評価をよび実証実験を進める。さらに、人間ー人間接続型の人間拡張テレプレゼンスの研究では、一人称視点と対外離脱視点を併用できるような視覚伝送技術を研究する。この研究では、遠隔地での作業者の視覚情報を処理して空間情報を構築し、その空間を通じて遠隔者との潤滑な共同作業を可能にすることを目的としている。また、全周囲頭部搭載カメラにより、利用者をとりまく環境を全周囲映像としてリアルタイム伝送する。さらに、今期に発見した仮想力覚フィードバックとの併用により、視覚のみならず触覚を含んだ感覚接続の研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していたよりも安価な設備により同等目的を達することができたため。 次年度に計画している人間ー人間拡張研究において必要なコンピュータ設備に利用する。
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