2013 Fiscal Year Annual Research Report
タブレット型端末を用いるコミュニケーションロボットの開発と疑似的触感の生成
Project/Area Number |
25280073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊澤 逸夫 東京工業大学, 像情報工学研究所, 教授 (70186469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 誠 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (50114872)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 触覚 / ハプティック / 慣性ホイール / アクチュエータ / ユーザーインターフェイス / タッチパネルセンサ / タブレット型端末 / マンマシンインタラクション |
Research Abstract |
本課題が対象とする触覚情報提示装置は、人が日常生活の中で各種情報機器との間のコミュニケーションに利用することを目的としているので、触覚情報を提示するために用いるモータの焼き付き等の問題を防いで信頼性を向上することが重要な課題となる。またモーターを利用するアクティブな方式に加えて、人の作用を効果的に利用して触覚的応答を生成するパッシブな方式を併用することが望ましい。まずアクティブな方式では、モータに加わる負荷を時間的に平準化するために慣性ホイールを導入することを考案して、そのための機構を各種研究開発して試作をして性能と効果を検証した。その結果、慣性ホイールを用いることによって強い力を発揮しながら応答を高速化できることを確認した。経済的にも安価なモータで高速な応答と大きな瞬発力が得られるため、装置のコストが下がり、市場に普及させる上で有利であることを確認した。さらにパッシブ方式のデバイスについては、アクティブ方式と組み合わせて、クリック感や凹凸感を指に提示するシリコンゴム製のデバイスを複数試作し、アクティブ方式のモーターが追随できない高速な指の動作にはパッシブ方式のデバイスで対応するようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数の試作を行い、独自に考案した慣性ホイールによる触覚情報提示方法の可能性を検証できた。触覚情報提示デバイスの試作内容は以下の通りである。(1)試作コード名EFA-1(Elastic Finger Attachmentの頭文字を取り、弾性材料を用いた指に装着するパッシブ方式のデバイスで、アクティブ方式では対応できない高速な指の動作への触覚情報の提示を行うことを目的としている)、(2)EFA-2(指の傾斜運動だけに対応していたEFA-1に対してさらに指の前後左右の並進運動に対応できるようにしたパッシブ方式デバイスである)、(3)EFA-3(EFA-4が)大き過ぎて操作性が悪かったため小型化する改良を行ったデバイスである)、(4)EFA-4(EFA-3まではシリコンゴムとプラスティックの2部品からできていたがシリコンゴムだけで製作できるように改良したデバイスである)、(5)EFA-5(EFA-4を)指に装着した際の操作性が良くなるように改良したデバイスである)、(6)EFA-6(EFA-5の強度を増し、金型による製造を可能としたデバイスである)。またアクティブ方式のデバイスについては以下の試作を行った。(7)MAS-1(Momentum-based Actuating Systemの略であり、まずは慣性ホイールにゴムベルトを押し当てて動力を得ようとしたデバイスである)、(8)MAS-2(MAS-1のベルトがスリップしやすかったため、ベルトの代わりにローラーを慣性ホイールに押し当てて動力を伝達しようとしたが、正逆2方向の力を得るシーソー機構に困難があることが予想されたため図面検討の段階で試作が中断した)(9)MAS-3(MAS-2の改良版)
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Strategy for Future Research Activity |
現状の機構では、慣性ホイールの回転エネルギーを、瞬時に制御可能なクラッチで取り出す際に、スリップが生じ、取り出せる力が弱く、遅延も生じてしまう。そこで、慣性ホイールから動力を取り出す際にクラッチがスリップしにくくなるように、接触面積を増やしたり、新たに電磁クラッチの機構にヒントを得た機構を導入する。クラッチを使うと瞬間的に大きな力と変位量を取り出せる利点がある半面で、力の大きさや変位の速度を任意に制御できないことが問題となるが、クラッチを高い周波数で入れたり、切ったりすることを繰り返すことで、力の大きさや変位速度を制御できる可能性があることに気が付いた。本年度の段階では、タッチパネル上の指に仮想的に知覚させる3次元形状や面の硬さと柔らかさの感触は比較的簡易なものに限定されており、特に硬さは硬いか、柔らかいかの2通りの硬軟度しか表現できないが、クラッチを小刻みに制御、タブレット型端末のタッチパネル上で知覚できる触覚情報を、より豊富にして、爆発的に普及しているタブレット型端末やスマートフォンで、新しいコミュニケーションの形態を開拓したい。また本課題の慣性駆動アクチュエータをより効果的に利用できる触覚情報提示方法やユーザーインターフェイスのソフトウェア、アプリケーションについて検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度末にかけて進めていた試作デバイスの欠点の改良試作が平成25年度内に間に合わず、改良試作代金を平成25年度内に試作会社に払えなかった。 平成25年度末から平成26年度の現時点にかけて改良試作の図面作成を進めており、5月中旬には改良方法の図面を確定して試作に着手できる見込みである。
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