2015 Fiscal Year Annual Research Report
タブレット型端末を用いるコミュニケーションロボットの開発と疑似的触感の生成
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25280073
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊澤 逸夫 東京工業大学, 像情報工学研究所, 教授 (70186469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 誠 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (50114872)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触覚情報提示装置 / Tactile Display / Haptic Device / マルチモーダル・ユーザーインターフェイス / マンマシンインタラクション / ユーザーイクスペリエンス / 知覚特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究課題で試作しているActuated Stageという触覚情報提示装置について、ステージ上面と端末下面の間に圧力センサーを6個配置して、それらの検出値に基づき、指からタッチパネルに加えられる押圧力を推定するアルゴリズムを開発した。この圧力については、物理的、定量的な力の大きさだけでなく、ユーザーが感じる主観的な押圧力との関係も重要であるので、被験者を通じた心理実験を実施して、センサー検出値と主観的な押圧力の感覚との関係を明らかにした。こうして求めた押圧力の情報を用いてタッチ面の上下動の動作量や動作速度を制御することにより、タブレット端末のタッチパネルに触れている指にタッチ面の仮想的な3次元形状や硬さ、柔らかさを提示し、複数の被験者を通じた心理実験により、表現のリアリティ(実際の物体を触った時の形状、硬さ、柔らかさの知覚との差異)を評価した。このリアリティを向上するため、形状や硬さ柔らかさの知覚の自然さに影響する要因を多数の被験者に対する主観評価と定量的評価を通じて確認し、センサーで検出した指の動きや押圧力に対して、Stageの上下動の制御を最適化することによって、リアリティを向上した。このActuated Stageはデスクトップ上で使用することを前提として試作したが、本年度はさらにモバイル用途に適した小型軽量版の試作に着手した。この試作では、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末の各種操作やアプリケーションに触覚情報を付加して操作性の向上を試みている。モバイル端末の裏面に当てた指に裏面から触覚情報を提示して上記と同様に三次元形状や柔らかさ硬さの触覚情報を提示することを試みているが本年度中に完了しなかったため、本課題を1年間延長して、試作と有効性の評価する予定である。なお本年度の成果は、平成28年3月末に米国で開催された国際会議VR2016で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は27年度で研究課題を完了する予定であったが、モバイル用途に小型化した試作デバイスが未完成であることから平成28年度まで1年間延長手続きを行った。デスクトップで使用する大型の装置については試作とユーザーの操作性や知覚特性を評価する実験が予定通りに完了した。仮想世界で指で触れるものの自然な触感、例えば、硬さや柔らかさ、ざらざら感や3次元の形状等を、モバイル端末の背面で指に提示する触覚情報で表現することは、電力やサイズや重量の制約を受けるため、デスクトップ型に比べて格段に難易度が高いことが判明して、機構も根本的に見直す必要が生じたために、試作装置を27年度中に完成することができず、研究期間を1年間延長することになった。試作デバイスができないことには、その操作性や触覚情報表現能力を評価する心理実験も行えず、それも28年度に持ち越しとなった。しかしながら、現時点で、モバイル用途向けに適した機構の構成案ができているので、5月中には試作に着手して、28年度中にはモバイル用途向け触覚情報提示装置を完成して、数々の評価実験を経て、触覚情報提示のリアリティと有効性を検証することが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように本来は27年度中に完了する予定であった、モバイル用途に小型化した試作デバイスが未完成であることから平成28年度中(9月以前)にそれを完成して、仮想世界で指で触れるものの自然な触感、例えば、硬さや柔らかさ、ざらざら感や3次元の形状等を、モバイル端末の背面で指に提示する触覚情報で表現できるように予定である。その試作装置については、電力やサイズや重量等のモバイル性に伴う制約を満たすことを目指す。そのためには27年度中に完成したデスクトップ型の機構を根本的に見直して、消費電力を抑えながら十分明瞭な触覚刺激を生成する斬新な機構を考案している。9月中までにはこうして考案した機構を試作して、10月以降には、この試作装置を使って、操作性や触覚情報表現能力を評価する心理実験を行い、触覚情報提示のリアリティと有効性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
デスクトップ上で使用する触覚情報提示装置(Actuated Stage)は予定通り完成し、評価実験を十分に行うことができたが、その結果を踏まえて試作に着手したモバイル用途に適した小型軽量版が未完成であるため。その試作を完成して、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末の各種操作やアプリケーションに触覚情報を付加して操作性の向上を試みるため、次年度にまで研究を延長することになった。中途の試作を継続するのための費用を次年度に持ち越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
モバイル端末の裏面に当てた指に裏面から触覚情報を提示してデスクトップ型のActuated Stageと同様に三次元形状や柔らかさ硬さの触覚情報を提示する試作装置の開発に資金を使用する。またこの試作装置の有効性やユーザーの操作性や知覚特性を評価する心理実験を行うために資金を使用する予定である。
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