2013 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の生存戦略を組み込んだ確率的ニューロコンピューティングの実現
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25280092
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Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
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Principal Investigator |
尾笹 一成 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (10231234)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | ソフトコンピューティング / 生物物理 / 微生物 / 生存戦略 / 確率的情報処理 |
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| Research Abstract |
生物の持つ多様性や生存戦略を情報処理に利用することで、より柔軟な処理や機知に富んだ判断を計算機上で実現することを目指し、遊泳性微生物ミドリムシの生存戦略行動と多様性を実験で明らかにし、それらをソフトコンピューティング機能として実装することを目指している。本年度はアナログ光照射コンピューティング、人工フェロモンの導入、外部化学刺激の３項目を調べた。
アナログ光照射コンピューティングでは、構築済みの光－微生物相互作用実験系を用いて、マイクロ流路に閉じ込めたミドリムシに外部刺激としてアナログ光を照射し、光忌避反応がどのように変化するのかを調べた。また、光パルスを照射する実験を行い、照射インターバルがその後の光忌避反応にどのような影響を与えるかを明らかにした。さらにニューロン数が16個の組み合わせ最適化問題をアナログ光フィードバックによって実際に解き、数値計算に向けた比較データを得た。ソフトコンピューティングに向けてはミドリムシの動きに対応した動的なモデル問題の構築が重要であることがわかった。
人工フェロモンの導入では、ミドリムシの遊泳軌跡を追随する形で光照射を行い、人工的なフェロモン効果を導入するプログラムを開発した。フェロモンの蓄積や蒸発などをパラメータとし、ミドリムシの集団が作る密集パターンの時間変遷を実験によって明らかにできた。定常的なステーションを設けた結果では、ステーション間を結ぶ帯状の領域が形成されることがわかった。
外部化学刺激では、PDMS中の拡散を利用することで化学物質を送り込む構造を設計した。ミドリムシの閉じ込め領域と化学物質を流すチャンネルとが分離されるため、定量的な計測が可能となった。環境応答型コンピューティングのベースとしてCO2ガスを対象としてミドリムシの環境応答を調べた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では２５年度中にアナログ光照射コンピューティング実験と人工フェロモンの導入実験を行う予定になっていた。これらは両者とも計画通りに実施され、予定していた成果が得られている。したがって当初の計画どおりに進んでおり、順調に進展していると判断するのが妥当である。
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| Strategy for Future Research Activity |
２６年度に化学走性と独立培養系間の相互作用を調べる実験とノイズ振動子によるシミュレーションを行い、２７年度に単一セルからの培養実験とミドリムシ個体を粒子として扱う詳細化モデリングを実施する。２８年度には確率的ニューロコンピューティングと環境対応実験を行い、本研究の目標を達成する。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導入を計画していた高輝度プロジェクターよりも中輝度のプロジェクターを消耗品として取り替えて使う方が研究計画の達成のためにふさわしいと判断されたため、物品費が圧縮された。
生じた次年度使用額は、国際会議などでの発表経費が当初予定よりもかさむことが予想されるため、それに充当する。
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