2013 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャルメタボリズム:代謝システムの標準ダイナミックモデル開発
Project/Area Number |
25280107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉田 博之 九州工業大学, 情報工学研究院, 教授 (90251371)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 代謝 / ダイナミクス / シミュレーション / システム / 遺伝子 |
Research Abstract |
低濃度アンモニアを取込むAmtBポンプを統合して、生化学的詳細を再現するアンモニア同化システムのダイナミックモデルを、生化学者であるBruggeman、Haswesterhoffらと共同で開発した。アンモニア同化システムは、転写因子や、ATP、NADHなどの補酵素を媒介して、密接に中央代謝ネットワークに関係しているので、転写因子や補酵素を含むモデルを作成した。 また、細胞内で生成した代謝物が、転写因子に作用して、遺伝子発現調節を行ったり、アロステリックに酵素活性を変化させたりする。2013年度は、4つの代謝物FBP、cAMP、glyoxylate、pyruvateに対する転写因子、Cra-fructose-1,6-bisphosphate (Cra-FBP)、Crp-cyclic AMP (Crp-cAMP)、IclR-glyoxylate (IclR-GLX)、IclR-pyruvate (IclR-PYR)、PdhR-pyruvate (PdhR-PYR)を含むダイナミックモデルを構築した。アロステリック反応を記述するために、詳細な動力学的挙動を表現するミカエリスメンテン型の代謝反応式を微分方程式で記述した。ダイナミックモデルは、Matlabを用いて計算した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
増殖速度の定量化モデルの構築: 中央代謝システムは細胞のエネルギーや物質生産の基盤であるので、増殖速度の定量的評価は必須である。しかし、生体分子ネットワークに関する知識や実験データが不足しているので、増殖に係る分子メカニズムをブラックボックスとして、増殖速度と増殖に係る代謝流束との相関関係を求める問題に帰着させる必要がある。代謝流束解析でよく使われる目的関数を参考にして、増殖関連の代謝流束を線形結合の和と増殖速度の関係を定式化する。そのため、代謝流束と増殖速度の実験データを網羅的に測定する。 ダイナミックモデルの一般化: 大腸菌モデルは、特殊なモデルではなく、多様な生物の中央代謝モデルのテンプレートになりうる標準モデルである。中央代謝システムは生物種間でよく保存されているので、大腸菌モデルの動力学的パラメータの調整や、代謝反応の修正を行うことによって、異なる生物種のモデルに変更することができる。環境条件、遺伝的条件下での表現型の定量的データを収集して、標準モデルをテンプレートとして、枯草菌やコリネ型細菌の中央代謝モデルを構築する。
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Research Products
(12 results)