2014 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャルメタボリズム:代謝システムの標準ダイナミックモデル開発
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25280107
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉田 博之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (90251371)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体生命情報学 / システム生物学 / シミュレーション / 代謝ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
増殖速度の相関式の提案 大腸菌の中央代謝システムは細胞のエネルギーや物質生産の基盤であるので、増殖速度の数学モデル化は必須である。しかし、分子レベルでの知識や実験データの著しく不足しているので、増殖に係る分子メカニズムをブラックボックスとして、増殖速度と増殖に係る代謝流束との相関関係を定式化した。
サブシステムダイナミックモデルの統合 予測力の高いダイナミックモデル構築のためには、生物学的に信頼できる測定値を用いること、モデルの動力学的パラメータの値を調節することが必要である。当然のことながら、すべてのパラメータを測定することは困難なので、動力学的パラメータの最適化技術を開発した。一般に、実験データと完全に一致するグローバル解を探索することが注目されてきたが、実際は、実験データ数は少なく、測定値は不確定なので、動力学的パラメータを一意に決めることは、実用的ではない。本研究では、2相分離探索法を用いて、実験データを説明できる多数の解を網羅的に探索した。解の生物学的妥当性は、感度解析や安定性解析によって評価した。モデルの修正と評価を繰り返しながら、予測精度の高いモデルを作成した。最適化の計算時間が膨大になるので、高速コンピューテーション技術(並列化、スパコン利用)を利用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、代謝システムのダイナミックモデルの最適化とシミュレーション、システム解析をすることができたので。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌の代謝ダイナミックモデルは、特殊なモデルではなく、多様な生物の中央代謝モデルのテンプレートであり、標準モデルである。中央代謝システムは生物種間でよく保存されているので、大腸菌モデルの動力学的パラメータの調整や代謝反応の修正を行うことによって、他の生物種のモデルに拡張することができる。環境条件、遺伝的条件下での表現型の定量的データを収集して、標準モデルを改良して、枯草菌やコリネ型細菌の中央代謝モデルを構築する。また、ヒトのオミックスデータを集めて、世界ではじめてヒト(正常な肝細胞)代謝のダイナミックモデルのプロトタイプを構築する。
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Causes of Carryover |
計算用サーバの選定に時間がかかってしまったため。予算残額内で購入できる研究に適切なサーバが見つからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算用サーバの購入を行う。
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Research Products
(14 results)