2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25280114
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 健一 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40344858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40431663)
津田 和彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50302378)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不正検知 / 通信販売 / 名寄せ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、関連基盤研究3件により得た、事前学習を必要としない不正検知技術のアイデアを使い、通販の不正取引(利用者の不払い)検知技術を研究している。 従来の不正検知研究は、データマイニングや統計処理技術の高度化により不正を検知しようと言う試みが多く、事前学習を必要とする事から新手の不正取引手口への対応が困難であった。提案者はマーケティング支援技術の基盤研究を推進してきた経験から、不正とは言え経済上の目的を持つ行為の本質に基く、事前学習を必要としない不正検知手法の着想を得た。 具体的には詐欺行為は多くの被害者を探すために同じ行動を繰り返す。繰返し回数の多いものは詐欺の可能性が高い。また通販の場合は同一住所で同じ行為を繰替えすために通販業者に伝える住所を微妙に変更し、同じ行為を繰り返している事を発見しにくくしている。本研究の中核は、このような行動の発見アルゴリズムである。 本研究は、この着想に基く不正検知技術の研究に関するもので、事前学習を不要として新手の手口にも対応する事で現状の不正取引の20%程度の削減が可能な技術の開発を目標としている。 平成25年度は、不正検知用のマイニング手法開発した。平成26年度は、開発手法を通販事業大手の業務にて試用し設計通り能力を持つ事を確認した。平成27年度は、開発手法の別応用への発展を検討し高頻度取引分析等への応用可能性を確認した。平成28年度は、関係者が今迄の成果をまとめ、博士の学位を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年報告したように、平成27年度に「住所情報名寄せ技術」を通販事業大手の業務にて試用し、設計通りの不正検知能力を持つ事を確認している。この成果は関連業者には評価されており従来大学では入手困難であった各種通販データが研究に試用できる環境となってきた。産学連携を通して大学の研究が実用上にも役立つ事を示した成果と考える。 平成27年度は、この知見をベースに開発したマイニング手法を各種応用へ発展させた。特に証券市場の株取引を分析し、近年利用の増えている高頻度取引について強い規則性を発見し、不正取引の要因となりうる事を発見した。全く別分野にも応用できる事を示した事と、博士学位の取得者がでたことは研究レベルの高さを示している。 以上、現在までの進捗は極めて順調であり、研究レベルだけでなく、産学連携体制の構築も含め達成度も高い。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり平成26-27年度に、通販業者のシステムを使った手法の評価と改良を実施した。26年度は実際に通販業者で試用が開始されており、順調であったが、実事業で利用されている事から性能や詳細の公表は、かえって難しくなった。実事業において犯罪抑止技術の詳細は公表しない事が求められるためである。 最終年にあたる29年度は、今迄の研究成果の応用分野の検討と、成果発表に注力する。研究としては途中で応用可能性を発見した金融分野が重要となると予想している。成果報告を兼てworkshopを開催予定の会議はIEEE CSと情報処理学会が共催する、関連分野でも重要な会議の1つであり、十分な成果発表が行えると考えている。
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Causes of Carryover |
直接経費290万のうち、100万ほど繰越金が生じた。29年度は成果報告を兼て国際会議(IEEE CS COMPSAC2017の一部として開催されるSSERV workshop)を開催することを予定しており、そのための経費(申請時予算と実際の認可額の差分)を基盤分の制度内で繰り越したためめの繰越金である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の必要経費を考慮して、最終年度に申請時の予算額が使えるよう考慮した結果であり、特段の処理は必要ない。
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