2014 Fiscal Year Annual Research Report
知識基盤としての出版メディアの変容に関する実証的研究
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25280120
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
戸田 愼一 東洋大学, 社会学部, 教授 (10183493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
影浦 峡 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00211152)
海野 敏 東洋大学, 社会学部, 教授 (80232891)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報メディア / 出版 / 知識基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、戦後日本の社会的な知識基盤の内実と変容を解明するために、電子メディアの登場以前から知識基盤を特権的に支えてきた出版メディアの現実態について、その形態・様式(物理的な形態、言語的な数量、論理的な様式)および社会的な配置(空間・時間的な流通、市場的な価値)に関するデータを大規模に集積し、総合的に分析する。 平成26年度は、調査対象第1群=戦後ベストセラーについて、前年度の現物調査で得られた計測データに基づき、その形態、形式面の経年変化の分析を行った。 さらに、調査対象第2群、すなわち戦後社会に知識を広く伝播する機能を果たしてきたと考えられる新書判出版社シリーズについて、1次データの収集、分析を行った。具体的には、戦前から刊行が継続している「岩波新書」を調査対象として、以下の項目を採録するための調査票を設計し、シリーズ番号を手掛かりに10%のサンプルを抽出し、それらの現物を公共図書館、大学図書館、古書店等で借用・入手し、現物調査を実施した。(a)物理的な形態:大きさ、フォント、縦書き・横書き、装丁、余白など、(b)言語的な数量:ページ数、1行の文字数、1ページの行数、など、(c)論理的な様式:表題紙、目次、索引、奥付、図表、挿図、写真など。岩波新書の調査票に採録したデータのデータベース化を進め、完成次第、分析を開始する予定である。 新書シリーズのサンプリング作業のために、岩波新書全点の書誌データベース作成を行ったが、戦後しばらくの期間については、国立国会図書館のデータが不完全なこと、他の図書館にも初刷りデータがない場合もあること、戦後間もなくは改訂版のシリーズ番号の扱いが不統一なことなど、書誌データとして一部曖昧さが残っている。 次年度にの現物調査を予定している第3群=大学教科書については、調査対象図書を選定するための文献リスト等の収集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度のベストセラー調査の経験があったため、新書版調査の設計や調査の実施は比較的順調に進めることができた。また、岩波新書は図書館で購入することが多いため、現物のアクセスもスムースに行われた。 したがって、当初予定していた作業を概ね順調に進めることができ、次年度の作業への見通しを持つこともできたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年間の研究において、概ね所期の成果をあげることができたので、当初の計画に従って研究を進めるする予定である。 次年度においては、第3群=大学教科書については主題領域を限定し、ベストセラーと新書シリーズと同様のサンプリング調査を図書館、古書店から現物を調達して実施する。 第4群=一般総合雑誌と第5群=全国紙については、発行部数、刊行期間の長いタイトルをサンプリングして、物理的形態と流通量の調査を実施する。
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Causes of Carryover |
当初、調査旅費を予定していたが、都内での調査により執行が少額で済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実態調査の謝金として利用する。
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Research Products
(2 results)