2014 Fiscal Year Annual Research Report
大気中重水濃度のモニタリング法の確立とファイトレメディエーション研究へのその応用
Project/Area Number |
25281010
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 晃 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (50240958)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 俊吾 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20381452)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 重水 / 陽子移動反応質量分析計 / 蒸散 / 根の吸水 / 有機物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年の実験により重水濃度をPTR-MSを用いて正確に測定できるようになった。そこで植物の根から吸収された物質が葉から放出されるまで継時的に計測した。測定には、陽子移動反応質量分析計(以下PTR-MS)を用た。VOC溶液は0.1 mLのベンゼン、トルエン、メタクロレイン、メチルイソブチルケトン(以下MIBK)を純水1Lに溶かし作成した。植物はフッ素樹脂製の袋に地上部を入れ、内部のVOC濃度を計測した。 2回の実験ともに、溶液に交換した後の明期中に葉から重水やVOCは放出されなかった。ランプが消灯し暗期を経過した後、午前6時にライトが点灯すると、重水由来イオン濃度と、実験に用いたすべてのVOC濃度が上昇した。これは植物の気孔が開いたことにより実験で用いたすべての物質が放出されたためである。各物質が放出されるとフッ素樹脂袋内の濃度が上昇するが、物質間で濃度差が大きかった。今回計測した物質の中ではメチルイソブチルケトン(以下MIBK)の濃度が最も高く、多量に放出されていた。 次いで、ヒマワリの根に13Cトルエンを吸収させ、暗呼吸速度を計測し、呼吸で放出される二酸化炭素の13C比を測定した。測定には、レーザー分光CO2安定同位体比計(Aerodyne Inc.Boston, Maine, USA)を用い、ヒマワリの暗呼吸中に13C-phenyl-tolueneの代謝最終産物である13CO2を測定した。13C-phenyl-tolueneをあらかじめ1週間根から吸収させたヒマワリと純水のみ(対照区)を吸収させたものを用いた。暗呼吸時に放出されるCO2の同位体比をkeelingΔ値を用いて評価した。 根からトルエンを吸収させた区では13CO2のkeelingΔ値は対象区のそれに比べて有意に低かった(P<0.01)。このことから植物の中にある13C-phenyl-tolueneneが代謝分解され、呼吸時に最終産物の13CO2として放出されたと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陽子移動反応質量分析計のレンタル会社との連絡が不十分であったため、レンタルが11月となり、野外での高木を用いた実験を行えなかったが、同位体の測定が順調に行え、もっとも大事なデータが取れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
H27年度以降は以下の2課題を推進する。 根から吸収された重水の葉からの蒸散を測定し,植物体内の包括的な水移動速度を求める. 同位体質量分析計を用いることで,13Cでラベルした有機物質の植物体内の分配,代謝を定量的に評価する. 以上の研究で,植物体内の水移動特性やファイトレメディエーション機能の動態を明らかにする. 推進に当たっては、連携研究者の谷亨に協力を仰ぎ、同位体質量分析計を用いる。
|
Causes of Carryover |
高額な13Cトルエン(10万円相当)の購入が保管分でまかなえたためなど。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、複数個13Cトルエンを購入するので、これに充てる。
|
Research Products
(6 results)