2014 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集技術を用い、ゲノム不安定性に与えるクロマチン構造の役割を解明する
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25281019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 智子(石川智子) 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70402922)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メダカ / 損傷メモリー / 遺伝的不安定性 / マイクロサテライト不安定性 / 環境ストレス / エピジェネティック変化 / クロマチン構造変化 / ゲノム編集技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線や化学変異原により誘発される遺伝的不安定性は興味深い現象であり、発がん等長い潜伏期を経て発症する生体影響には極めて重要な要因である。何らかの損傷メモリーが遺伝的不安定性誘発の要因と考えられるが、その実体は明らかでない。本申請では、ゲノム編集技術を用いゲノムの特定領域に損傷を導入し、導入損傷により誘発される不安定性の検出をゲノム上に散在する標的配列で行う系を確立する。損傷導入領域・変異検出領域において、損傷メモリーの有力な候補であるゲノムDNAやクロマチンの修飾を解析し、損傷メモリーの実体を明らかにする。これに加え損傷応答遺伝子変異体による解析を行い、損傷メモリー形成・維持に関わる経路の同定を行う。 損傷応答遺伝子p53、ATM、ATR、DNA-PKcsの変異体については既に作製しており、これまでに、p53変異体は生存可能で妊性があり、ATM変異体は生存可能であるが不妊不稔、ATR変異体は正常孵化するが、孵化後一ヶ月までに死亡することを確認していた。DNA-PKcsについて同様の確認を行った。その結果、DNA-PKcs変異体は孵化後2-3か月目までは正常に生育するが、その後成魚になるまでにそのほとんどが死亡することが確認された。また生き残った成魚(今回得られたのはメスのみ)は妊性を有しており得られた胚は正常に発生することが確認された。これらの結果より、ATR、DNA-PKcsについては変異個体を解析するために野生型遺伝子によるレスキューを行う必要があり、本年度はDNA-PKcsレスキュー用のBACコンストラクションをrecombineering法で行った。このとき、レスキュー後さらに任意の組織、細胞でノックアウトできるようにDNA-PKcsの遺伝子領域をloxPではさみこみ、DNA-PKcsが抜けたあとGFPが発現し始めることで欠失が確認できるよう工夫している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) メダカにおけるマイクロサテライト不安定性の検出系の確立、特定ゲノム配列に損傷を導入する系については昨年度の報告通り順調に進んでいる。 2) 損傷メモリーの形成・維持に関わりがあると考えられる損傷応答遺伝子群の変異体は作製できており、致死もしくは安定して変異体を得ることができない系統に関しては野生型遺伝子を導入してレスキューする系を準備中で、順調に進んでいる。 3) 損傷導入部位でのエピジェネティック変化の検出、クロマチン構造変化の検出系の確立についてはやや遅れている。 以上のことを総合して、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、DNA-PKcs変異体レスキュー用BACの作製を行う。またATR変異体レスキュー用BACの作製を開始する。特定ゲノム配列に損傷を導入する系については、人工ヌクレアーゼを導入した個体の作成をおこなう。この時、組み換え修復等を塩基配列で確認できるよう近交系間のゲノム配列を検索し、二重鎖切断導入カ所を決定する。損傷導入部位でのエピジェネティック変化の検出/クロマチン構造変化の検出するために、DNAの修飾としてはメチル化を、またヒストン修飾についてはヒストンH3の9番目のリジンのメチル化(H3K9me)を解析する。またこれに加え、局所的にヘテロクロマチン化しているかどうかの確認をHP1抗体によるChIP Asseyにより行う。そのための手法の条件検定を行う。特にHP1に関しては、市販の抗体がメダカHP1にCrossReactするかどうかのチェックを行い、場合によってはメダカHP1抗体を作製する。
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Causes of Carryover |
損傷導入部位でのエピジェネティック変化の検出/クロマチン構造変化を検出する系の確立が予定より遅れたため、それに必要な試薬、物品等の購入を前年度は見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
損傷導入部位でのエピジェネティック変化の検出/クロマチン構造変化の検出する系確立の予定が立ち次第、今年度の予算も合わせ、必要な物品、試薬等の購入を行う。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] The Cryptochrome/Photolyase Family in aquatic organisms.2014
Author(s)
Oliveri P, Fortunato AE, Petrone L, Ishikawa-Fujiwara T, Kobayashi Y, Todo T, Antonova O, Arboleda E, Zantke J, Tessmar-Raible K, Falciatore A.
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Journal Title
Mar Genomics
Volume: 14
Pages: 14-23
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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