2014 Fiscal Year Annual Research Report
DNA付加体1分子が関わる遺伝子変異誘発機構の緻密性に関する研究
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25281022
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安井 学 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 主任研究員 (50435707)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNA付加体 / 遺伝子変異 / 遺伝毒性 / DNA損傷 / 遺伝子ターゲティング / トキシコロジー / 1分子 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,CRISPR/Cas9系を本研究に組み込むことによって,あらゆる遺伝子の破壊をTSCER122細胞で実行可能であることがほぼ確認された。最近,広範に利用されている市販のCRISPR/Cas9のキットは,non-selectiveな条件では得られるターゲティング効率が非常に低く(デザインされたターゲットサイトに依存するが),目的の欠損細胞を効率良く得られない場合があった。そこで,研究協力者の助言により,薬剤耐性遺伝子を用いる方法を導入することによって,格段にターゲティング効率が上昇することを確認した。 また,昨年度に得られたPOLB欠損TSCER122細胞を用いて,1,N6-エセノアデニンDNA付加体をTATAM(エキソン系)で解析した。この付加体は,POLBが関与する塩基除去修復機構によって修復されていると考えられ,その解析は陽性対象の実験として位置づけられる。実験の結果,POLB欠損細胞を用いた時に得られたエセノアデニンの突然変異誘発頻度は,その野生型の細胞を用いた時よりも約3倍上昇した。つまり,チミジンキナーゼ遺伝子のエキソン5にエセノアデニンが形成すると,POLBが関与する塩基除去修復機構が働いていることが確認でき,あらためてTATAM系は精度が良いと分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNA修復関連遺伝子の破壊細胞を構築するために,当初は,市販されている範囲のZFNキットを終始利用する研究計画だったが,最近利用可能なCRISPR/Cas9系の方が低コストであること,そして研究者自身で比較的容易にゲノム編集ができることなどから,それを採用することにした。よって,平成26年度は当初計画してなかったCRISPR/Cas9系を本研究に組み込むことに時間を要したため,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
数種類の塩基除去修復やヌクレオチド除去修復に関与する遺伝子の破壊細胞を構築し,それらのゲノムに導入された1,N6-エセノアデニンDNA付加体の突然変異誘発頻度を調べ,その野生型の細胞を用いた時に得られる変異頻度と比較する。
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Causes of Carryover |
遺伝子破壊細胞を構築するために低コストなCRISPR/Cas9系を利用することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分子・細胞生物学的な実験の消耗品として利用する。
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Research Products
(7 results)