2015 Fiscal Year Annual Research Report
DNA付加体1分子が関わる遺伝子変異誘発機構の緻密性に関する研究
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25281022
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安井 学 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 主任研究官 (50435707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々 彰 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 研究助手 (10738347)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNA付加体 / DNA損傷 / 遺伝子変異 / 遺伝子破壊 / 1分子 / トキシコロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,TATAMのエキソン系に関して,チミジンキナーゼ遺伝子(TK)の変異を復帰させる陽性対照ターゲティングベクター,および復帰させられない陰性対照ターゲティングベクターの2種類の混合割合を規則的に変えて,TSCER122細胞に形質転換し,TK復帰頻度のレスポンスを調べた。陽性対照ベクターが0,0.1,0.2,0.6,2μgに対して,陰性対照ベクターはそれぞれ2,1.9,1.8,1.4,0μgを混合した。その結果,陽性対照ベクターの量に依存して,TK復帰頻度は上昇し,ほぼ直線性を示した。しかしながら,最小の陽性対照ベクター0.1μg(エキソン系では5%の変異頻度に相当)の時は,TK復帰頻度が陰性対照ベクター1.9μgのシグナルに埋没する傾向にあり,明確に差が得られないように見受けられた。これは,DNA付加体の誤塩基対形成頻度が5%程度ではエキソン系で検出できない可能性を示唆している。 in vivoで誤塩基対形成頻度の高いDNA付加体を探すために,8-ブロモグアニン,5-ブロモウラシル,およびウラシルをTATAMのイントロン系に供して調べた。8-ブロモグアニンはわずか2.4%しか突然変異を誘発せず,5-ブロモウラシルがこれまで調べた付加体のなかで最も高い突然変異誘発頻度(33.2%)を示した。ウラシルはin vitroでは高い誤塩基対形成頻度を示すが,in vivoでU:Gミスマッチペアの状態でゲノム導入したところ,予想以上にDNA修復されわずか8.1%の変異頻度であった。 遺伝子破壊細胞の構築に関しては,CRISPR/Cas9系およびZFNのゲノム編集技術によって,XPAおよびOGG1の欠損細胞を分離し,ウェスタンブロッティングや薬物等の感受性実験でフェノタイプの確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに数種のDNA付加体をゲノム導入して解析し,遺伝子変異誘発の緻密性を調べるためのTATAM(エキソン系)の基礎データが揃いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
TATAMのエキソン系において,低い突然変異誘発頻度の領域ではデータがばらつく傾向が観察されたため,比較的高い突然変異誘発頻度を示すDNA付加体に焦点をあてて実験を行う。遺伝子破壊細胞の構築も順調に進展しており,本年度は転写共役型DNA修復に関わる修復タンパク質のミュータント細胞を構築予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では研究費の大部分を消耗品の購入にあてているが,それらの実際の納入価が予定よりも低かったことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞生物学および分子生物学的な実験の消耗品として使用する。
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Research Products
(6 results)