2017 Fiscal Year Annual Research Report
DNA付加体1分子が関わる遺伝子変異誘発機構の緻密性に関する研究
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25281022
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安井 学 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 室長 (50435707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々 彰 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (10738347)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA付加体 / DNA損傷 / 遺伝子変異 / 遺伝子破壊 / 1分子 / トキシコロジー / 遺伝子座特異的 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子変異の緻密性を調べるために,遺伝子座ごとの遺伝子変異誘発機構についても解析している。まずは,相同組み換えが起きないX染色体上のHPRT遺伝子座,および相同組み換えが起きる常染色体(17番)上のTK遺伝子座に注目し,それぞれの遺伝子座で起きるDNA二本鎖切断と8-oxodG付加体を導入したときの突然変異誘発頻度とスペクトラムを調べ,それらを比較する。今年度は,ゲノムの特定部位に二本鎖切断を形成させることができるI-SceI制限酵素の認識配列をHPRT遺伝子のイントロン2にノックインさせたTSceHPRT細胞を分離した。HPRT遺伝子の発現解析およびサザンブロッティング等により,TSceHPRT細胞の基礎データを取得した。また,予備実験としてその細胞内にI-SceI発現ベクターを形質転換させ,HPRT座の二本鎖切断の突然変異誘発頻度とスペクトラムを解析したところ,TK座の二本鎖切断よりも塩基欠失による遺伝子変異頻度が高く,特徴的な変異が観察された。 DNA修復遺伝子の欠損細胞の構築に関しては,ERCC6遺伝子(CSB)を欠損する患者のエキソン5で検出される変異を持つノックインTK6細胞を構築し,紫外線照射に対して高感受性を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞ゲノムの特定部位に1分子のDNA付加体(あるいは1ヶ所の二本鎖切断)のDNA損傷を遺伝子座特異的に導入させる実験系の構築,およびDNA修復欠損細胞の構築が順調に実施され,着実にデータを取得していること。
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Strategy for Future Research Activity |
HPRT遺伝子座とTK遺伝子座にDNA二本鎖切断をそれぞれ形成させて解析し,その突然変異誘発頻度やスペクトラムを詳細に比較すること。また,TATAM法を使ってそれらの部位に8-oxodGを導入して解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では,TALENやZFNなどを外注する予定であったが,現在は,CRISPR/Cas系が広く使われ,本研究においても自作で遺伝子破壊細胞を作製している。よって,当初計画より経費を節約できた。使用計画は,当初計画どおりに細胞生物学,および分子生物学的実験の消耗品として使用する。
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