2015 Fiscal Year Annual Research Report
溶融塩電解と低融点液体金属を用いた希土類金属の分離・回収プロセス
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25281047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小西 宏和 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60379120)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レアアース / 有価物回収 / 溶融塩 / 電気化学 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
723 KのLiCl-KCl共晶塩にDyCl3(0.50 mol%)またはNdCl3(0.50 mol%)を添加した系において作用極に液体Bi電極を用いてDy-BiとNd-Bi合金の電解形成を検討し、さらに、液体Bi, Sn, Zn電極、固体Ni電極との比較検討を行った結果、以下の成果を得た。 (1)DyCl3、あるいはNdCl3を添加した浴中で、Bi電極を用いて0.50 V~0.70 Vで定電位電解を1時間行ったところ、NdCl3のみを添加した場合、Nd-Bi合金が形成することがわかった。一方、DyCl3のみを添加した場合、Dy-Bi合金の形成を確認することができなかった。 (2) DyCl3、NdCl3を共に添加した浴中で、0.50 V~1.10 Vの各電位において1 hの定電位電解により試料を作製したところ、0.50 V~0.90 VではDy,Nd-Bi合金の形成を確認することができた。一方、1.10 Vでは、合金の形成を確認できなかった。 (3)液体Bi電極を用いた場合、固体Ni電極を用いた場合に比べてDy,Nd合金形成が0.30 V程度貴な電位で形成することがわかった。また、液体Bi電極を用いた場合、合金形成に起因するカソード電流密度は、Ni電極を用いた場合に比べて数倍大きいため、速い速度で合金が形成することが明らかになった。 (4)作用極に液体Bi, Sn, Zn電極を用いて、Dy,Nd合金の形成を行い、同じ電位でそれぞれのカソード電流密度を比較したところ、液体Sn電極を用いた場合がもっとも大きな値となり、3種類の液体合金の中で、最も速い速度で合金が形成することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は723 KのLiCl-KCl共晶塩にDyCl3(0.50 mol%)またはNdCl3(0.50 mol%)を添加した系において作用極に液体Bi電極を用いてDy-BiとNd-Bi合金の電解形成を検討し、さらに、液体Bi, Sn, Zn電極、固体Ni電極との比較検討を行い、それぞれの電極の特性を明らかにしたが、最終目的とするDyの高精度分離に至らなかった。ゆえに本研究は来年度まで延長し、Dyの高精度分離を可能にする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、これまでの知見をふまえて、723 KのLiCl-KCl共晶塩において作用極に液体Bi, Sn, Zn電極を用いて、アノード電解によってDyとNdの高精度分離を検討する。また、合金形成速度と対応する液体電極中のDyとNdの拡散速度を測定する予定である。最終的にはDy高精度分離に最適な液体電極と電解条件を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、昨年度に作製した装置と大学での共同利用の分析装置を使用し、予定よりも少ない金額で研究を遂行することができた。しかし、結果として、目的であったDyの高精度分離には至らなかった。ゆえに、次年度に研究費を繰り越し、学会等で希土類電解の専門の先生と議論を深めて、新たな手法を提案し、次年度、本プロジェクトを遂行する。以上のことから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画としては、H28年度に開催されるアメリカ電気化学会講演大会の参加費、旅費と研究に関する消耗品である。
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Research Products
(4 results)