2013 Fiscal Year Annual Research Report
未規制の環境中分解物を含めた法規制有害物質の一斉分析とリスク評価
Project/Area Number |
25281049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
亀屋 隆志 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (70262467)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境分析 / モニタリング / 有害化学物質 / 環境リスク / 化学物質管理 |
Research Abstract |
本研究では、法規制対応の有害化学物質に加え、それらの環境中分解物にも着目して、環境中挙動を踏まえた親・子化合物の包括的な環境ばく露解析を実施し、その重要性を社会に提示することを目的とした。具体的には、国内外の学術文献情報の収集・整理ならびに光分解・加水分解性試験を実施して、環境リスク評価が求められている有害化学物質の環境中分解物を明らかにしてリスト化することとした。また、都市河川における環境中分解物の一斉モニタリング手法を開発して、環境中ばく露の解析を実施することとした。 平成25年度は初年度にあたり、まず、環境中における光分解物や加水分解物リストの構築を行うため、化管法対象物質や化審法対象物質および農薬などについて、光分解や加水分解の有無についてプレ実験やScience Directなどの学術文献調査を行い、環境中に排出された際の化学物質の光分解物や加水分解物などのリスト化を図った。次に、親物質とその環境中分解物を効率的に包括一斉分析するための方法を確立するため、GC/MS同時同定定量DBシステム(AIQS-DB)法の適用を図り、カラム保持時間や質量スペクトル、検量線の情報を実測して、AIQS-DBへの追加を行った。次に、実環境中濃度のモニタリング事例の蓄積を開始するため、都市近郊の環境水質測定点や農耕期の農地近郊の河川水のサンプリング収集を開始し、前処理を行って分析試料を調製・保管するとともに、一部の試料については試行的に分析測定を試みた。また、化学物質のリスク評価へとつなげるために、包括一斉分析の対象としてリストアップされた物質を対象に、国内外の公的機関等が公開している信頼できる水生生物毒性情報の収集・整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化管法や化審法、農薬などのうち、標準試薬が入手できるものから順次、GC/MS同時同定定量DBシステム(AIQS-DB)法の適用性を調べて分析条件を確認し、光分解性や加水分解性の有無を調べた。これと同時に化学物質の環境中分解性の有無と分解物についての文献調査も並行して行った。標準試薬の入手と分析法の確立を並行して行うこととなっており、この作業は引き続き平成26年度にも行うことになっている。また、都市近郊の環境水質測定点や農耕期の農地近郊の河川水のサンプリングは、従来より継続して行っているものであり、平成25年度も神奈川県や茨城県などを中心に実施し、それら分析サンプルの調製は済んでおり、分析に向けた保管がなされている。対象物質の水生生物毒性情報は、特に分解物については情報が少ないが、国内外の公的機関等が公開している情報の収集を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
標準試薬の入手と分析法の確立を並行して行うこととなっており、平成26年度もGC/MS同時同定定量DBシステム(AIQS-DB)法の適用拡大を図ることとしているが、この方法の適用が困難な物質については、平成26年度にLC/MS/MS一斉分析法の適用を検討することとしている。河川水のサンプリングは、平成26年度も平成25年度と同じ地点を中心に継続的に行い、複数年の比較が行えるようにする予定である。水生生物情報の収集は、特に分解物については困難が予想されるが、構造活性相関(QSAR)によって予測する手法などを採用する可能性についても検討したい。
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