2014 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性と生態系機能への影響を考慮した湖沼沿岸植生管理に関する研究
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25281052
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
西廣 淳 東邦大学, 理学部, 准教授 (60334330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡味 麻衣子 東邦大学, 理学部, 准教授 (20449250)
吉田 丈人 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40447321)
瀧本 岳 東邦大学, 理学部, 准教授 (90453852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒシ / オニビシ / 印旛沼 / 三方湖 / 生態系管理 / 順応的管理 / 湖沼 / 水質 |
Outline of Annual Research Achievements |
印旛沼では、陸域-水域移行帯にヨシ-ヒメガマ群集が広く成立しているが、近年はヒシやオニビシなど浮葉植物の優占に伴い、ヨシ-ヒシ群集が成立している場所も見られる。ヒメガマ帯やヒシ帯はクモなどの表層徘徊性動物の足場や植食性昆虫の餌資源として利用されているが、枯死や繁茂の過程で物理構造が季節的に大きく変化する。本研究では、陸域のヨシ帯と水域のヒメガマ帯あるいはヒシ帯を移動すると考えられる昆虫・クモ類を対象とし、これらの生物を効率的に採集可能な水上ピットフォールトラップを用いた動物群集の調査を行った。その結果、植生のタイプにより昆虫・クモ類の群集構造が大きく異なることが示された。 また印旛沼および三方湖において、ヒシ・オニビシ群落の辺縁部からの距離やヒシの植被率に応じた水質や魚類群集・底生動物群集の相違を調べた。印旛沼においては、ヒシ・オニビシ群落の辺縁部からの距離に応じた溶存酸素濃度の低下が認められ、溶存酸素濃度の比較的高い辺縁部は、開放水面と比べても魚類やエビ類が多い傾向が認められた。また、ヒシ群落から見て外向き及び内向きの両方に定置網を設置する調査の結果、昼夜の時間経過に伴う魚類の移動が確認された。三方湖ではヒシ密度の高い場所で、動物プランクトンや表層動物が多い傾向が認められた。 さらに三方湖では、底質中の埋土種子密度から繁茂範囲を予測するための基礎調査に着手した。 ヒシやオニビシの群落は、船の航行上の障害などの理由により、駆除管理対象とされがちだが、動物へのハビタット提供など重要な生態系機能を担っていることが明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
印旛沼および三方湖での研究は予定以上のペースで進んでおり、行政との連携のもと、生態系管理の提案を行っている。三方湖においては、研究成果を踏まえた管理実験が実現する見透しもある。 ただし当初予定していた達古武沼では、行政による管理と調査が行われているため、それを取材・引用する形として、今後の比較に供することにした。これらの状況を踏まえ、「当初の計画以上に進んでいる」という評価ではなく、それに準ずる評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、種子密度調査やリモートセンシングデータの解析により、浮葉植物の繁茂状況を予測する方法を検討するとともに、生態系機能と生物多様性を考慮した管理を試験的に行い、その効果をモニタリングし、管理指針の作成を目指す。 また複数湖沼のデータを活用し、浮葉植物が繁茂するレジームの成立条件の検討を、数理モデル等の手法を駆使して進める。
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Causes of Carryover |
購入予定の消耗品について、現有物品の再利用で対応した。また今年度実施予定だった三方湖での調査の一部を次年度に行うこととしたたため、差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
三方湖での調査は次年度前半に行う予定であり、その際に予算を執行する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Heterogeneous distribution of a floating-leaved plant, Trapa japonica, in Lake Mikata, Japan, is determined by limitations on seed dispersal and harmful salinity levels.2014
Author(s)
Nishihiro, J., Kato, Y., Yoshida, T. and Washitani, I.
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Journal Title
Ecological Research
Volume: 29
Pages: 981-989
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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