2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25281062
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊崎 昌伸 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30416325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 順司 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40398938)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 銅酸化物 / CuO / Cu2O / ZnO / 太陽電池 / 電気化学 / 水溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,理論変換効率が約28%となる1.35eVのバンドギャップを有するp-CuOとn-ZnOから構成される新規な太陽電池を溶液化学プロセスにより形成すると共に,半導体材料の物性制御、ヘテロ界面バンドアライメント制御、太陽電池構造の最適化を行うことによって、変換効率20%を達成するための指針を明確にし、その学理を探求することである。CuO半導体を光吸収層として応用するためには、対称性の低い単斜晶系結晶構造制御等の課題を克服したうえで、太陽電池構造を確立する必要がある。そこで、平成25年度には、化学熱力学的に設計したアルカリ性アンモニアCu-Zn錯体水溶液からCu(Zn)Oならびにn-ZnO層とのヘテロジャンクションダイオードを形成し、良好な整流性を示したが、太陽電池特性の発現には至らなかった。平成26年度には、p-CuO層とn-ZnO層を主要構成層とするヘテロジャンクションダイオードが、光電変換機能を示す事を確認し、CuO太陽電池光電変換層の基本骨格を見いだした。平成27年度には、p-CuO層とn-ZnO層間にp-Cu2O層を導入した新規なp-CuO/p-Cu2O/n-ZnO構造においてp-CuO層ならびにp-Cu2O層ともに光電変換層として機能することを外部量子効率測定から明らかにするとともに、本構造において太陽電池性能を発揮することも確認した。この新規な構造は、変換効率28%を超える超高効率太陽電池の要件を満たす可能性があることから、高効率化の指針を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、p-CuOとn-ZnOから構成される新規な太陽電池を溶液化学プロセスにより形成すると共に,変換効率20%を達成するための指針を明確にし、その学理を探求することである。平成27年度には、p-CuO層とn-ZnO層間にp-Cu2O層を導入した新規なp-CuO/p-Cu2O/n-ZnO構造を見出し(特許出願済み)、p-CuO層ならびにp-Cu2O層ともに光電変換層として機能することを確認し、太陽電池の動作実証についても達成した。本研究過程において、バンドギャップの異なる2種類のp型半導体であるp-CuOとp-Cu2Oを組み込み、かつ光電変換層として機能させることに成功した。これは、従来の太陽電池の変換効率を超える新規な光電変換層の概念ならびに構造を提供するものであり、平成27年度の当初計画である高効率化の指針、を達成し、さらに超高効率化への可能性も示すことができたことから、①当初の計画以上に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に動作実証したp-CuO/p-Cu2O/n-ZnO太陽電池においては、p-CuO/p-Cu2O光電変換層の構造・組織と電気的性質との相関、n-ZnO層とのヘテロ接合のためのバンドアライメントの最適化、などの課題が山積している。特にヘテロ界面にはワイドバンドギャップのバッファ層導入が不可欠と考えられるが、現時点では導入しバンドアライメント改善には至っていない。当初計画には、ここまでの進捗を予想していなかった事から、バッファ層形成のための設備機器が十分ではないため、他機関との連携を進めながら研究推進に取り組む
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Causes of Carryover |
研究の過程で、バンドギャップの異なる複数のp型半導体層を内包するという変換効率30%を超える超高効率太陽電池の要件を満たし、レアメタルを含有せず、構造も非常に簡単なインタースタック銅酸化物(Cu2O/CuO)光電変換層の発明(特願2015-177515)に至り、補助事業をより高度に達成するための研究の実施のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本経費を、研究用消耗品購入ならびに課外出張経費に充当する。
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Research Products
(13 results)