2014 Fiscal Year Annual Research Report
居住者の個人特性を考慮したLED照明デザインに関する研究
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25282006
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
奥田 紫乃 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (60352035)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境デザイン / LED照明 / 分光分布 / 片頭痛 / 好ましさ評価 / 色の見え |
Outline of Annual Research Achievements |
食肉の加熱時における色の見えの変化がわかる照明条件を明らかにすることを目的とし、影の影響を受けずに加熱食肉の色度を測定するための測定ドームを製作した。ドーム内部内部を白色塗装し、試料台下部に標準光源D65、および分光分布の異なる6種のLED光源を設置し、上部から2次元色彩計で測定可能とした。牛・鶏・豚の各ミンチ肉を2cm角に成型してオーブンレンジで加熱調理を行い、21段階の測定条件下におけるミンチ肉の色度を測定して、各照明条件下での色度を定量的に把握した。 照明条件が視覚的なおいしさに与える影響を明らかにすることを目的とし、色温度の異なる3種の白色LED、及び赤・青・緑のLEDを組み合わせ、色温度や分光分布が異なる計9種類の照明条件を設定し、刺身、天ぷら、サラダ、ハンバーグ、ビーフシチュー、コーンスープ、人参スープ、ほうれん草スープの計8種類の調理品を視対象として、調理品のおいしさ、調理品の色の見え、調理品の見えの自然さ、照明の好ましさの4項目を評価させた。その結果、サラダでは色温度が高い条件でおいしさ評価が高く、天ぷらでは色温度が低い条件においしさの評価が高い傾向が見られたが、同じ色温度でも分光分布の違いにより評価に違いがあることも示された。 リビング空間を想定した4分の1縮尺の模型空間を製作し、6種のLED光源を組合せながら、分光分布の異なる10条件のLED照明条件を設定して、くつろぐ際に好ましいと思う明るさを調光させた。その結果、いずれの照明条件においても、片頭痛をもつ被験者は片頭痛をもたない被験者よりも好ましい明るさが低いことが示された。 照明条件変化時の色順応所要時間を探ることを目的とした実験を実施した。その結果、色温度の差が大きいほど順応時間を要する事、低色温度から高色温度への変化時よりも、高色温度から低色温度への変化時のほうが順応時間が長い事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H.26年度は、分光分布の異なる照明条件を設定するための各種装置を製作し、調理品の見えに適した照明条件の検討や、片頭痛をもつ人に適した照明条件の検討に関する被験者実験を実施した。実験順序の若干の変更はあるものの、全体としては順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.食肉の加熱時に適した照明条件の検討:前年度に測定した加熱食肉の色度データ(Yxy値)をRGB値に変換し、加熱食肉画像をモニタに提示して、加熱食肉の見えに関する被験者実験を実施する。また、前年度は食肉片(2cm角のキューブ)であったが、ハンバーグやステーキなど、調理品目を対象として同様の色度測定・被験者実験を実施する。 2.調理品の見えに適した照明条件の検討:前年度に実施した実験結果を学会発表するとともに、調理品の見えをよくする分光条件について検討する。 3.片頭痛をもつ人に適した照明条件の検討:前年度に実施した実験結果を学会発表し、実空間における実験について検討する。 4.肌の見えに適した照明条件の検討:前々年度に実施した実験では、一様な分光分布をもつ照明条件に、ある特定の波長を付加または減じた条件を設定し、肌の見えに関する被験者実験を実施した。この条件設定方法では、5000〜6000Kの照明条件範囲となったため、その他の色温度範囲における肌の見えについて検討する。 5.前年度までに得られた結果を各関連学会で発表・報告するとともに、LED照明に関する研究や、実際の使用実態について調査・情報収集する。
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Causes of Carryover |
LED照明光源の技術は日進月歩であり、実験に使用するLED光源の購入は実験実施の直前が望ましい。したがって、次年度に実施予定の実験で使用する光源は、然るべき時期に購入する予定である。また、LED照明光源に関する各種規定について、国際的動向を調査する必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に使用するLED光源を購入する。また、実験実施の際の被験者スケジュールの管理、安全面の確保等を鑑み、実験実施における研究補助者を雇用する。さらに、国内外の学会に参加し、これまでに得られた知見を報告して、各関連分野における専門家からの意見を頂く。
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