2015 Fiscal Year Annual Research Report
居住者の個人特性を考慮したLED照明デザインに関する研究
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25282006
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
奥田 紫乃 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (60352035)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境デザイン / LED照明 / 分光分布 / 片頭痛 / 好ましさ評価 / 色の見え |
Outline of Annual Research Achievements |
1.片頭痛をもつ人に適した照明条件について、居間を模した実大空間において主観評価実験を実施した。その結果、片頭痛をもつ在室者は色温度の高い照明条件を好まない傾向がみられること、色温度の高い照明空間に対する印象評価が、片頭痛のない在室者と異なることが示された。 2.肌の見えに適した照明条件について、前年度の実験結果に基づき、肌色が異なる3名の日本人女性を対象として、実験を実施した。また、照明の分光条件の設定において、前年度に設定した一様な分光分布をもつ条件に加えて、一様に増加する条件、および一様に減少する条件を基本条件として加え、それぞれの基本条件に種々の分光を加える条件を設定して、肌の見えの好ましさに関する実験を実施した。現在、結果分析中である。 3.食肉の加熱時に適した照明条件について、前年度の実験結果を踏まえ、ハンバーグの加熱時に適する照明条件に関する実験を実施した。まず、前年度までに製作したドーム型測色装置を用いて、標準光源および各種分光分布の異なるLED照明下におけるハンバーグの色度値を、設定加熱段階ごとに測色し、得られた色度値からハンバーグ画像を生成した。さらに生成したハンバーグ画像を提示して加熱段階の分かりやすさ評価実験を実施した。その結果、分光分布の条件により、加熱段階が1-3程度異なることが示された。加熱食肉のわかりやすさに適した照明条件の良否を決定する評価指標については、現在検討中である。 4.樹木の葉を対象とした照明条件との関係について、緑もみじ、赤もみじの葉を対象とした実験を実施した。その結果、分光条件が異なると葉の見えや見えの好ましさ評価が異なり、赤もみじ葉の色の鮮やかさとFCI(目立ちやすさ指数)との間に相関がみられ、好ましい目立ちやすさ評価値が存在することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに製作した装置や実施した評価実験結果に基づき、各検討項目において主観評価実験を実施した。現在、結果分析中である。また、前年度に得られた知見について、国内外の学会で報告した。一部に評価手法の再検討が必要な項目もあるが、全体としておおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 片頭痛をもつ人に適した照明条件について、これまではくつろぎやすさに着目した検討を実施したが、作業のしやすさや疲労度などに着目した検討を実施する。 2. 化粧肌の見えに関する検討について、前年度までに実施した肌の見えに関する検討に加え、アイカラーやリップなど、ポイントメイクの見えや顔全体の印象に着目した検討を実施する。 3. H.26年度に実施した調理品の見えに関する実験結果に基づき、実大空間を用いて食事空間における適切な照明条件について検討する。 4. H.26年度に実施した照明光色の変化時における色の見えの恒常性に関する実験について、色温度条件を増やして追加実験を実施する。
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Causes of Carryover |
前年度に製作した各種装置について、使用状況に応じて解体・再構成することにより、LED光源の新規購入数を抑えることができた。また、LED光源の新商品入れ替えの期間が安定化し、1,2年にわたってLED光源を継続して使用することが可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
LED光源の新製品動向に引き続き注意し、状況に応じて新製品を購入する。また、前年度までに得られた知見を、国内外の学会で報告・発表する。
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