2015 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の健康で安全な生活のための居住環境と住まい方に関する基礎的・実践的研究
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25282016
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
都築 和代 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 総括研究主幹 (70222221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 龍太郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 副所長 (20150881)
磯田 則生 奈良女子大学, 名誉教授 (60016871)
森 郁惠 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (90415753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人間生活環境 / 快適性 / 老化 / 生理学 / 省エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.季節における周囲温度と高齢者の血圧の関係を調べる実生活場面における実験の結果は、血圧には季節差が認められず、睡眠との関係についても、有意な相関関係は観察されなかった。引き続き、解析を進める予定である。 2.高齢者施設においての、四季の睡眠の比較は、就寝中の寝室の気温、湿度が高くなるほど高齢者の睡眠効率が低下する傾向等、これまで戸建住宅において観察されてきた結果を追認する等を明らかにしたが、季節による有意な差は明確ではなかった。また、施設管理者不在時には空調停止となることより、夏季では空調停止後の夜間に高温化することが明らかになり、改善の必要性が明らかになった。現在、高齢施設居住者の睡眠環境についての論文を投稿中である。 3.公団等の居間断熱改修が高齢者の健康に及ぼす影響について研究を実施し、睡眠への影響について解析を進めている。その結果、高齢者の夜間睡眠への影響は認められなかった。このことは、寝具を適切に使用することにより、夜間の寝床内気候が適切に保たれると、睡眠への影響、特にアクチグラフ等の活動量計で測る睡眠においての主として体動等では評価しきれない影響を検討する必要が示唆された。さらに、解析を進める予定である。 4.高齢者の熱中症予防を目的として、屋外温熱環境において日射熱の有無の下での運動と室内での休憩を3回繰り返した場合の人体影響を測定する実験の結果の解析を進めている。高齢者の運動時の直腸温上昇は、2回目の運動で日陰よりも日向で有意に大きくなり、3回目の運動では日向の青年よりも有意に大きくなった。日射熱が高齢者にとって負荷となっていたうえに、休憩を約27℃に空調した室内に椅座状態でとらせたことが、温冷感を緩和し快適性を高めていたが、身体からの放熱を遅延させる原因となった可能性が示唆された。今後、さらに熱収支等からの解析を進めるとともに、放熱促進のための方策を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験データの収集・整理については当初の計画以上に、効率よく進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
国際会議での発表、論文作成に尽力する。
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Causes of Carryover |
効率よくデータ収集・解析を進めたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議で発表を予定しており(プロシーディング、アブストラクトはアクセプト済み)、その英文校正費、渡航費用としての使用を予定している。
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Research Products
(9 results)