2014 Fiscal Year Annual Research Report
栄養応答シグナルの破綻による代謝疾患の発症機構の理解と制御手段の確立
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25282028
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70242980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40434469)
金崎 啓造 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (60589919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / ポドサイト / 糖尿病 / 線維化 / ケト原性アミノ酸 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)糖尿病腎症にみられる高度蛋白尿がポドサイトのオートファジー不全によって生じているか否かを、動物モデルとヒト腎生検サンプルを用いて検討した。腎臓ポドサイト特異的Creリコンビナーゼ発現マウスと、Atg5 floxマウスと掛けあわせたマウスは、高脂肪食負荷によってポドサイトロスと高度蛋白尿を呈した。さらに、高度蛋白尿を呈するヒト2型糖尿病の腎生検において、オートファジー不全がポドサイトにおいて生じていた。 2)糖尿病腎線維化における内皮細胞のオートファジー不全に注目し、VEcad-Cre; ROSA26-CAG-tdTomatoHze/Jを解析したところ、内皮特異的リコンビナーゼの発現が確認できた。 3)マウスの成長ステージに特異的骨格筋特異的Creマウス(HSA-MerCreMer)をケンタッキー大学Esser教授より供与いただき、Atg5floxマウスと掛けあわせた。さらに、HSA-MerCreMer; Atg5flox/floxマウスを作成した。次いで、ROSA26-CAG-tdTomatoHze/Jと掛け合わせており、HSA-MerCreMerの特異性や効率を十分に確認した。 4)高脂肪食(HFD)による惹起される健康被害は脂肪肝、耐糖能異常にとどまらず骨格筋における恒常性にも悪影響を及ぼし、HFDKAAによる介入は骨格筋恒常性改善を伴う可能性を考えた。そこで、正常食(C), HFD, HFDKAAの3群の試験食を開始し、12週経過したところで骨格筋栄養応答シグナル及びミトコンドリアの形態を比較検討したところ、高脂肪食投与により生じる骨格筋ミトコンドリア異常はHFDKAAにて有意に改善を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)既に、予定していた腎ポドサイトにおけるオートファジー不全が、糖尿病あるいは高脂肪食負荷において生じており、その結果、高度蛋白尿を来すことを明らかにすることが出来た。 2)遺伝子改変マウスの入手とvalidationが終了している。 3)培養内皮細胞Atg5の内皮細胞恒常性維持において演じる役割を検討する準備は終了した。 4)筋肉特異的誘導型Creマウスの入手とvalidationを終了した。 5)ケト原性アミノ酸改変食による筋肉ミトコンドリアの改善することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 雄性VEcad-Cre(+); ATG5flox/floxマウス(C57Bl6系統)の糖尿病誘導後1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月にマウスを屠殺し、組織学的定量(MTS染色を用いた腎線維化、PAS染色を用いた糸球体肥大・硬化)を行い、EndMTを評価するとともに、TGF-ベータおよび受容体発現、smad転写因子のタンパク発現をwestern blotで、各線維化指標の遺伝子発現を定量的PCRでそれぞれ確認する。またmicroRNA-let-7の定量的PCRを行うとともに、網羅的解析のため腎臓を用いたmicroRNA array解析も実施する。さらに、Genetic lineage tracing法を用いて、糖尿病腎におけるEndMTが周囲細胞の筋線維芽細胞様変化に及ぼす影響を検討する。ついで、CD-1系統に戻し交配を行ったVEcad-Cre(+);ROSA26-CAG-tdTomatoHze/Jマウス、VE-cadVCRE(+); ROSA26-CAG-tdTomatoHze/J; ATG5 flox/floxマウスに前述同様1型糖尿病を誘導する。糖尿病誘導6ヶ月後に屠殺し、Tomato(赤)の発現を可視化するとともに、筋線維芽細胞のマーカーであるαSMAと内皮マーカーCD31, 上皮マーカーE-cadherin,または周皮細胞(pericyte)のマーカーであるNG2、PDGF受容体Bの発現(それぞれ青または緑)を3色(赤、緑、青)にて免疫蛍光顕微鏡解析を行い、EndMT細胞と周囲細胞の筋線維芽細胞への分化との相関を検討する。 2.骨格筋オートファジー機構不全マウス(Tm+; HSA-MerCreMer; ATG5-Floxマウス)に、カロリー制限、運動負荷、アミノ酸改変食を行い筋肉の表現型変化を観察する。ついで、8週齢HSA-MerCreMer; ATG5-Floxマウスにタモキシフェン(200mg/kgBW x5days)を投与し、オートファジー機構不全マウスを作成する。マウスは更に8週間、カロリー制限(ペアーフード:60%カロリー)、及びトレッドミルを用いて週3回の運動負荷、及びアミノ酸改変食を投与して、筋肉の表現形および栄養代謝関連細胞内シグナル分子を網羅的に解析する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Fatty acids are novel nutrient factors to regulate mTORC1 lysosomal localization and apoptosis in podocytes2014
Author(s)
Yasuda M, Tanaka Y, Kume S, Morita Y, Chin-Kanasaki M, Araki H, Isshiki K, Araki S, Koya D, Haneda M, Kashiwagi A, Maegawa H, Uzu T.
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Journal Title
BBA
Volume: 1842
Pages: 1097-1108
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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