2014 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア4ヶ国における理科授業分析とその要因の解明
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25282037
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
吉田 淳 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90115668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鹿 聖公 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (50263653)
平野 俊英 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70325033)
遠西 昭壽 愛知教育大学, その他部局等, 名誉教授 (20135396)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 理科授業分析 / 教育改革 / 理科教師教育 / 教育制度 / 比較教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、韓国、台湾、香港の研究協力者と直接面談を通して、各国の科学教育の状況と具体的な理科授業の収集と分析方法についての進捗状況を確認し、各国の状況に応じた範囲内で研究を推進することを確認した。特に、学校との協力連携体制や授業を収録する祭の視点、児童生徒のプライバシーの保護までも、各国の状況に大きな差違があることを考慮することが確認された。 この際、授業を分析することで担当する教師の評価をどのように実施するかが課題となった。また、日本をはじめとするの教育改革が急激に展開しており、日本の例では、学習指導要領が目指す「生きる力の育成」と「科学教育」の関連性が、授業における児童生徒の学習活動にどのような影響を与えているかなど、各国の実情の基本となる教育政策について検討した。また、教員の研修制度についても各国の実情の相違点が大きく、「授業研究」に当たる"Lesson Study"は一般的ではなく、日本の事例について情報提供した。 本研究を通して、各国の科学教育を巡る教育制度、教員研修、授業スタイル、学習成果、教員評価についてさらなる議論を展開しながら、9月に埼玉大学で開催された日本科学教育学会年会における「課題研究」として成果発表することをとおして、各国と日本の相違点を明らかにした。この課題研究は「東アジア4ヶ国における理科授業分析とその要因の解明」オーガナイザーとして研究代表者(吉田)が行い、愛知教育大学名誉教授遠西昭壽、韓国晋州教育大学孔泳泰、台湾国立新竹教育大学CHANG, Mei-Yu、香港大学Alice S.L.Wongが発表し、指定討論者として愛媛大学隅田学がコメントを発表した。 その後、各国の理科授業のビデオ記録と分析結果について日本に集約し、統一的な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した計画書では、小、中学校の多くの理科授業を分析することを目指したが、具体的には各国の実情の違いから、「優れた理科授業」として1-2授業を分析することで、各国の特徴を抽出することに変更した。その理由として、各国の大学と小中学校の協力関係が大きく異なること。個人情報保護の壁により、学校側の協力を得ることが難しいこと、多くの授業の記録(プロトコール)およびベテラン教師による授業評価には、課題が多いことが明らかになった。 従って、分析の中心を日本側で行うことで日本の科学教育研究者やベテラン教師が、各国の理科授業の特徴をどのように評価するかを中心として、各国の研究協力者の負担軽減を図った。
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Strategy for Future Research Activity |
日本側では、すでに小、中学校理科授業を10本程度収録しており、日本の「優れた理科授業」について、代表的な授業を抽出中である。また、各国から送付された理科授業については、できる限り日本語訳を付して、理科教育研究者とベテラン教師の双方で授業評価を行っている。 同時に、使用されている理科教科書と理科授業の展開方法の関係についても調査分析している。ただし、韓国については研究協力者の日本語が堪能なので、日本語訳については依頼している。 研究成果については平成27年11月に開催される東アジア科学教育学会(East Asia Science Education Association)で公表予定である。それらの成果をまとめ最終報告書に集約する。
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Causes of Carryover |
購入物品が予定額よりも安価で購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
11月に開催される東アジア科学教育学会へ、韓国、台湾、香港の研究協力者を招聘し、口頭発表するなど、国内外旅費として使用する。また、授業記録のためのソフトウエアなどの物品購入や評価者に対する謝金などとして使用する計画である。
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Research Products
(14 results)