2014 Fiscal Year Annual Research Report
国際比較の観点からみた論理的思考力や科学的表現力に関する分析的研究
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25282047
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
猿田 祐嗣 國學院大學, 公私立大学の部局等, 教授 (70178820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 憲治 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (10549372)
石井 雅幸 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (50453494)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 論理的思考力 / 科学的表現力 / 国際比較 / PISA / TIMSS / 小学生 / 中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,PISAやTIMSSで指摘されたわが国の児童・生徒の論述形式問題の成績が欧米各国に比べ低い原因を明らかにするとともに,各国のカリキュラムとの比較から科学的・論理的に論述するための能力を育成するための理科の指導法を具体的に提案する。 平成26年度は,新しい学習指導要領「理科」で重視されている探究活動における「問い」について分析を行った。TIMSS2011の中学校2年生対象の理科論述形式問題がどのような「問い」を発しているか調べたところ,科学的知識や概念を用いて説明したり,観察や実験を行うことで予想される結果を推論したりする能力とともに,観察・実験方法を立案する能力が多く見られることが分かった。さらに,TIMSS2011データを二次分析したところ,義務教育段階における我が国の学力の学校間格差は非常に小さく,1990年代以降,その傾向は一貫して継続していることが明らかとなった。 また,国のカリキュラムにおいてOECDのキー・コンピテンシーの影響を受け,またPISAで比較的上位の結果を残してきたニュージーランドに着目し,近年のカリキュラムの動向と理科の学力の関係について,TIMSSの結果を用いて考察したところ,第4学年で理科の特に知識に関する学力が低下しており,ニュージーランドではコンピテンシーを重視したカリキュラムの導入が理科の教科内容の特に知識に関して相対的に負の影響を与えている可能性があることが分かった。 これらの研究成果を,日本理科教育学会第64回全国大会及び日本科学教育学会第38回年会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小・中学生の思考力や表現力の実態を,TIMSS国際比較調査のデータ分析から明らかにするとともに,TIMSS2011の問題における「問い」の分析から,国際的に通用する理科の学力として,観察・実験方法を立案する能力が重視されていることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進展しており,最新のTIMSS2015における児童生徒の解答データベースを作成し,それらをもとにした分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
TIMSS2015の調査の枠組や参加各国の最新教育情報に関する英文文書の公開が遅れたため,平成26年度内にそれらの翻訳を行うことができなかった。そのため,翻訳に係る経費として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度末に実施されたTIMSS2015における理科記述問題の小・中学生の解答のテキスト・データベースを作成するための経費として使用する。TIMSS2015の出題傾向を明らかにするために,公開された調査の枠組や参加各国の最新教育情報に関する英文文書を翻訳するための経費として使用する。また,それらの研究成果を国内外の学会で発表する旅費として使用する。
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Research Products
(7 results)