2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25282086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
住田 潮 筑波大学, システム情報系, 教授 (10236044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八森 正泰 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (00344862)
竹原 浩太 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 助教 (70611747)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スマートフォン応用ソフト / 浸透度 / 安定度 / セキュリティー / ダウンロード数予測アルゴリズム / マルコフ解析 / 相補的関係 / 相殺的関係 |
Research Abstract |
本研究では、1)デジタルカメラ、2)映画、3)スマートフォンの応用ソフト、という3つの市場を対象に、e-WoMを具体的に収集した上でデータベース化し、データマイニング・判別アルゴリズム・統計的手法等、多様な分析道具を用い、e-WoMと製品・サービスの市場実績との関係を定量的に把握する新たな方法論の確立を目指している。 1)と2)に関しては、情報収集、分析方法論の確立、日米比較分析の研究が進められており、本年度中に論文として纏め、国際学会での発表を目指している。3)に関しては、研究は順調に進められており、昨年度中に、メインテーマに沿った論文として3本、分析手法の確立に関連する論文3本を執筆し、すべて国際学会での発表が予定されている。 メインテーマに沿った論文は、スマートフォン応用ソフトの浸透度、安定性をセキュリティーリスクと関連付けて分析した論文(Analysis of Interrelationships between Application Popularity, Application Stability and Potential Risk in e-WOM)、マルコフ連鎖の解析手法を用いてスマートフォン応用ソフトのダウンロード数を2~3か月の射程で予測するアルゴリズムの開発(Development of an Algorithm for Predicting Number of Downloads of Smartphone Applications: Markov Chain Approach)、データ・マイニング手法を用いて、スマートフォン応用ソフト間の相補的関係・相殺的関係を抽出するアルゴリズムの開発(Analysis of Competitive Structure of Smartphone Game Applications)の3本である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スマートフォン応用ソフトの浸透度、安定性とセキュリティーリスクを関連付けて分析した論文は存在せず、上述した第1論文は、この分野で新たな道を開いたと言い得る。特に、クラスタリングに基づく顧客類型を確立した上で、浸透度、安定性とセキュリティーリスクの関連構造の違いを明らかにした点で、極めて独創的な研究であると自負している。結論として、一般的に日本市場におけるスマートフォン応用ソフトのセキュリティーリスクは低く、また、浸透度、安定性の高いものほどセキュリティーリスクも高くなることを実証した。 スマートフォン応用ソフトの開発企業にとっては、製品のライフサイクルを知ることは極めて重要である。そのためには、限られた期間における市場での製品パフォーマンスに関する情報に基づいて、将来のダウンロード数を予測することが必要となる。上述した第2論文では、ARIMAモデルを活用して推移確率行列を推定し、それによって特定されるマルコフ連鎖を解析することによって、将来時点のダウンロード数の確率分布を推定するアルゴリズムを確立した。数値検証の結果、実際の実現値が推定された確率分布の平均プラスマイナス標準偏差内に納まる確率が極めて高いことを実証し、実用に耐え得るアルゴリズムである点で、画期的である。 スマートフォン応用ソフトの開発企業にとって興味ある別のテーマとしては、応用ソフト間の相補的・相殺的関係の有無を挙げることが出来る。応用ソフトAやBをダウンロードするとCもダウンロードされ易い傾向が見られるとき、A、B、Cは相補的関係にあると言え、応用ソフトCがリムーブされる傾向があれば、(A、B)とCは相殺的関係にある。上述した第3論文では、時系列データにデータマイニングの手法を適用し、そうした相互関係を抽出するアルゴリズムを開発したが、これも極めて実用性の高い優れた応用研究であるとの自信をもっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は、先ず、1)デジタルカメラ、2)映画に関して進捗中の研究を纏め、論文を完成させることである。特に、2)に関しては、興業収入のデータが公開されている点で、各映画のe-WoMの内容と興業成績の関連を分析できる格好の題材であり、日米市場の比較検討を通して、例えば、日本でヒットするアメリカ映画の特性を抽出すると言った応用可能性の高い研究を展開することを目指す。デジタルカメラに関しては、売上データの入手は極めて困難であり、SNS上での人気ランキング等の公開指標で代替させる予定である。 3)スマートフォンの応用ソフトに関しては、さらに研究を進め、共同研究協力企業が、情報そのものを商品化出来る水準まで実用性を高めた解析を目指す。イメージとしては、月額XX円を支払うスマートフォン応用ソフトの開発企業には、この深度までの情報の読み込みを許す、別の深度までは情報のダウンロードを許す、と言った実用性の深度に関して起伏のある市場解析情報の体系化を目指す。方向性としては、上述した3本の論文の方法論をさらに発展させ、また、解析情報の自動生成やユーザーフレンドリーな GUI の開発も目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大量データの入手と、それに伴うプロジェクト・メンバーの補強が次年度に持ち越されたため、購入予定であった、高性能デスクトップ型コンピューターと数台程度のパソコンの購入を次年度に延期したため。 大量データの入手と、それに伴うプロジェクト・メンバーの補強が実現することになっており、それに伴う高性能デスクトップ型コンピューターと数台程度のパソコンの購入を中心に使用する。
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Research Products
(7 results)