2014 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災におけるコミュニティ復興のアクションリサーチ
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25282119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80260644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30314347)
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30362750)
志水 宏吉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40196514)
黒崎 浩行 國學院大學, 神道文化学部, 准教授 (70296789)
高田 一宏 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80273564)
鈴木 勇 甲子園大学, 人間科学系, 講師 (90452383)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コミュニティ復興 / 災害救援 / 災害復興 / 災害ボランティア / 学校 / 宗教施設 / 災害NPO |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の2点について研究を継続した。 (1)コミュニティ復興における恊働的実践 本研究が対象としている3つの被災コミュニティ(岩手県野田村、宮城県南三陸町、宮城県気仙沼市)においてフィールドワークを継続した。 (2)コミュニティの復興課題に対するアクションリサーチ アクションリサーチの準備状況が対象とするコミュニティ間で異なっていたので、野田村をモデル地区と見立てて、地域資源群の広域ネットワークの動員によって実践を計画・実施した。同時に、南三陸、気仙沼では、次年度からの本格的なアクションリサーチへとつながる調査を実施した。具体的には、野田村チームは、高台移転後のコミュニティ再生と仮設住宅に残された人々のケアについて見守りに関する研究会を地元社協、包括支援センター、民生委員らと定期的に開催した。地域の歴史・文化・伝統を踏まえたまちづくりの第一段階として、計画中のコミュニティFMでの番組作りへの参加と実践を試行した。一方、南三陸チームでは、避難所生活を体験した被災者から、避難所生活について語りを収録し、とりまとめていくことによって、避難所からの復興、避難所体験の伝承によるコミュニティ復興への可能性について計画を立案し、一部実施した。また、気仙沼チームは、気仙沼小学校、寺院、商店街、自治会などの取り組みについて聞き取り調査を実施した。また、高台移転を行う地区において、宗教施設に焦点を当てて現状を把握した。以上の取り組みから、次年度における本格的なアクションリサーチの展開へと準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各地域での恊働的実践は、計画以上の進展を見せている。計画当初に予定していなかった組織・団体とのネットワークが拡充し、新たに現地で開始された活動とも連携をとりながら進めることができた。その結果、アクションリサーチの展開が十分に可能になった。しかし、各チームがそれぞれのコミュニティでの研究に勤しむあまり、相互の連携が十分にとれなかった。フィールドで生じていることの情報交換は当然行えたが、それらを集約し、議論し、理論的な総合を図るための場を十分には準備できなかったため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度達成できたことは、さらに推進し、達成できていない点を補う。具体的には、現場での恊働的実践やアクションリサーチはさらに深く展開することとし、各チームの連携に注目し、情報交換にとどまらない理論的総合の場を設ける。各チームが相互に現場を訪問する活動も可能な限り実施したい。
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Causes of Carryover |
各分担者の担当する地域への訪問が計画以上に進んだのに対し、そこで得た成果を中間的にとりまとめるまでには至らなかったため、旅費の支出の割に、人件費/謝金の支出が少なかった。また、中間的な研究の推進状況について、各分担者との情報交換や議論は進めてきたが、経費を要するような場(具体的には、各分担者の担当する地域への相互訪問)には至らず、その議論の結果を整理するための謝金などが計画以下となった。この2つが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各分担者がそれぞれに担当する地域での中間的な成果を整理し、それらを持ち寄って一堂に会したり、各地域を相互訪問したりして議論し、中間的なとりまとめを行うための一部としたい。
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