2016 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災におけるコミュニティ復興のアクションリサーチ
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25282119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80260644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30314347)
稲場 圭信 大阪大学, その他の研究科, 教授 (30362750)
志水 宏吉 大阪大学, その他の研究科, 教授 (40196514)
黒崎 浩行 國學院大學, 公私立大学の部局等, 准教授 (70296789)
高田 一宏 大阪大学, その他の研究科, 准教授 (80273564)
鈴木 勇 大阪成蹊大学, 教育学部, 准教授 (90452383)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コミュニティ復興 / 災害救援 / 災害復興 / 災害ボランティア / 学校 / 宗教施設 / 災害NPO |
Outline of Annual Research Achievements |
計画していた通り、以下の2点について、最終年度へとつなげる研究を継続実施した。 (1)コミュニティ復興における恊働的実践 野田チーム、南三陸チーム、気仙沼チームが恊働的実践を継続し、アクションリサーチを見据えた取りまとめを開始した。具体的には、野田チームは国際学術雑誌に英文論文を公刊し、南三陸チームは避難所生活に関する聞き取り調査をまとめて書籍を出版した。さらに、気仙沼チームは、地域における芸術(津波の絵画と、阪神・淡路大震災以来、災厄に苦しむ人々を悼む楽曲レクイエムの合唱)に焦点を当てた報告書をまとめた。これらは東日本大震災の発災から5年間の継続的な実践的研究の総括であると同時に、最終年度、さらには、課題終了後の展開につなげていける成果となっている。 (2)コミュニティの復興課題に対するアクションリサーチの展開 最終的なモデル地区として、野田村を選定し、コミュニティラジオ開局の動きを最終年度のアクションリサーチ、および、復興教育プログラムへとつなげていくこととした。むろん、南三陸チームでは、避難所生活の聞き取り調査と出版を通じた展開、気仙沼チームでは、地域資源としての宗教施設と絵画と合唱のコラボレーションといった芸術プロジェクトによる実践とアクションリサーチを展開しているので、これは継続しつつも、野田チームに重点的に関わり、最終年度のとりまとめと復興教育プログラムへの展開へとつなげることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各地域での恊働的実践とアクションリサーチは、それぞれ(中間的)成果を出版するなど、計画以上の進展を見せている。具体的には、野田チームでは、コミュニティラジオの開局の動きが活性化し、それまでの経緯を英文論文で出版した。南三陸チームは、避難所生活に関する聞き取り調査を本にまとめて出版した。気仙沼チームは、絵画と合唱のコラボレーションによるプロジェクトを進め、その経緯と成果を報告書にまとめた。本研究では、ここからモデル地域を選定し、最終年度に向かうので、全体的に計画以上の進展を認めてよいと考える。しかし、選定に至る過程で、事実や情報の交換は十分に行えたが、研究者間の理論的な議論は必ずしも総合的に展開できたとはいえない。各チームの成果と、全体的な総合のバランスを若干欠いていたという点で、おおむね順調と自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年度は、これまでの成果を整理し、最終的な取りまとめを行う。 (1)コミュニティ復興における恊働的実践のとりまとめ 昨年度に出版した成果をもとに展開してきたアクションリサーチを取りまとめる。各チームが新たに報告等の文章に整理する成果や、すでに報告等にまとめつつある成果を現場で人々に再度吟味してもらい、最終聖火としていく。その際、内容はもとより、議論や表現が不十分であると判断される場合には、現地での追加の実践やアクションリサーチを展開し、取りまとめる。 (2)3つのチームで展開してきたアクションリサーチをもとに、昨年度には、野田村をモデル地区として選定し、コミュニティ復興に向けた地域資源プラットフォームに関する試行を行ってきた。最終年度である今年度は、この成果を承けて、復興教育プログラムとして練り上げ、実践する。具体的には、野田チームが中心となって行ってきたコミュニティラジオに関するアクションリサーチおよびプラットフォームとしての試行を、現地のNPOや学校と連携して教育プログラムへと昇華し、プログラムの実践を試みてまとめる。
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