2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25282129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関野 正樹 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20401036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 守昭 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60153277)
塩澤 幹雄 自治医科大学, 医学部, 助教 (20364515)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 計測工学 / 磁性 / 電子デバイス・機器 / 癌 / 外科 |
Research Abstract |
乳がんの治療法は、病巣周囲のリンパ節への転移の有無によって変わり、転移があった場合はリンパ節も併せて切除するため、むくみ等の副作用が発生する。不必要なリンパ節切除を避けるため、がんに最も近いリンパ節(センチネルリンパ節)を探して病理検査を行うことが求められる。本研究では、がん病巣からリンパ系へ導入した磁性流体を体外の磁気プローブによって検出し、センチネルリンパ節を特定するシステムを、世界に先駆けて実用化することを目的としている。従来法とは異なり放射線を使わず、永久磁石と小型磁気センサから成るシンプルな構造のため、患者を対象とした臨床研究へ早期に移行できることが特徴である。平成25年度は、磁気プローブの原理検証を行った。磁気プローブは、体内の磁性流体を磁化させる永久磁石と、その磁化を検出する磁気センサによって、構成した。磁気センサはプローブ先端部に配置するのが重要であるとともに、磁気センサからの出力を高いゲインで増幅するためには、磁性流体が存在しない時のバイアス磁場がほぼゼロとなることが望ましい。リング型の永久磁石には、中心軸上に、磁束密度がゼロの点が存在する。その位置にセンサを配置することで、バイアス磁場を最小化した。また、永久磁石と体内の磁性流体とによって形成される磁場の分布を、数値解析によって評価した。磁性流体としては、MRI用造影剤として実用化された製品を利用するが、この薬剤の詳細な磁気特性に関する十分な資料が無いため、独自に磁気特性の測定を行って、解析に利用した。磁気プローブと磁性流体の距離を変化させて、センサ出力の変化を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した内容を,順調に実行できた.磁性流体の磁気特性の測定も,無事に実施できた.研究の成果について,論文1件,国際会議2件,国内会議4件の発表を行った.研究に協力した大学院生が行った発表が,電気学会の賞に選ばれた.
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Strategy for Future Research Activity |
原理検証が成功したことを受けて、今後は、実使用量の磁性流体を検出する実験に取り組む。リング型のネオジム磁石とホール素子を使って、磁性流体を接近させたときにセンサ出力が変化することを確認する実験を行う。永久磁石と磁気センサとの相対的な位置を、マイクロメートルの精度で調整するための治具は、独自に開発したものを使用する。センサ出力を観察しながら、それが最小になる位置に調整して、接着剤にて固定する。地磁気の影響を補償するために、もう1つの磁気センサを設けて差動増幅を行う。また、リンパ節の構造と大きさを模擬したファントムを作成し、磁性流体を検出する実験を行う。先行研究における動物実験の結果から、磁性流体はリンパ節の表層に取り込まれることが示されている。直径20mm、厚さ0.5mmの球殻を樹脂で作成、中に磁性流体を満たす。磁気プローブに対して、ファントム位置を軸方向に変化させ、感度を評価する。
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