2013 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性インジェクタブルポリマーを用いたDDS製剤のフィージビリティ研究
Project/Area Number |
25282147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大矢 裕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10213886)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー / インジェクタブルポリマー / 再生医学 / ゾル-ゲル転移 / 生分解性 |
Research Abstract |
生体内に注入すると体温に応答してin situでヒドロゲルを形成する温度応答型インジェクタブルポリマー (IP) が報告されている。中でも生分解性を有するIPは,薬物徐放デバイスなどへの応用が期待されている。これまでの生分解性IPは,乾燥後の性状が粘稠な液体であり,水に溶解するのに数時間~数日を要し,臨床現場で即時調製できないことに大きな問題があった。本研究では,凍結乾燥による粉末化が可能で,常温で水に溶解し,乾燥および溶液状態で高い安定性を示すインジェクタブルポリマー製剤を得ることを目的として,ポリマーの分子構造と添加剤について検討した。疎水性セグメントとしてポリカプロラクトン-グリコール酸共重合体 (PCGA) を使用し,これとPEGからなるトリブロック共重合体 (PCGA-b-PEG-b-PCGA) を合成した。得られたトリブロック共重合体に種々の添加物を加えて凍結乾燥を行い,その後のサンプルの性状や溶解に要する時間,温度応答性ゾル-ゲル転移挙動等について検討した。 得られたポリマーの温度応答性ゾル-ゲル転移挙動を調べたところ,約32℃でゲル化することがわかった。凍結乾燥後に常温で再分散した懸濁液のゲル化挙動を調べたところ,約34℃でゲル化した。凍結乾燥後の再分散性に与える添加物の影響を検討した。その結果,PEGを添加した場合,PBS添加後に約30秒撹拌することで均一な分散液が得られた。またその分散液のゾル-ゲル転移温度は,約32℃であった。以上の結果から,PCGA-b-PEG-b-PCGAにPEGを添加することにより,粉末化と再分散時間の短縮に成功した。 さらに,このポリマーから調製したゲルを使用してペプチドおよびタンパク質医薬の放出実験をin vitroおよびin vivo行い,徐放効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通り,トリブロック共重合体(PCGA-b-PEG-b-PCGA)では,PEGを添加することにより,粉末化と再分散時間の短縮に成功した。しかしながら,マルチアームPEGを用いた星形ブロック共重合体およびグラフト共重合体については,粉末・固体化とゾル-ゲル転移の両方を実現する組成を見つけだすことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
粉末・固体化とゾル-ゲル転移の両方を実現するポリカプロラクトン共重合体を疎水鎖とする星形ブロック共重合体およびグラフト共重合体の組成決定をさらに検討する。得られたポリマーから調製したゲルにタンパク質薬物を内包させ,動物実験においてその薬効の発現(骨再生誘導など)を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マルチアームPEGを用いた星形ブロック共重合体およびグラフト共重合体については,粉末・固体化とゾル-ゲル転移の両方を実現する組成を見つけだすことができなかった。繰り返し実験を行ったため,学生の謝金は計画以上にかかったが,in vitro, in vivo評価のためのポリマーの大量合成を行うことができなかったため,物品費がそれ以上に余ってしまった。 マルチアームPEGを用いた星形ブロック共重合体およびグラフト共重合体で,粉末・固体化とゾル-ゲル転移の両方を実現する組成を見つけ,その大量合成を行い,かつ動物実験を行うことで,大きな出費が予想され,前年度未使用分を含めて全額使用可能である。
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Research Products
(21 results)