2013 Fiscal Year Annual Research Report
光酸発生培養基材への精密光照射による接着細胞の物理プロセシング
Project/Area Number |
25282148
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
須丸 公雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 上級主任研究員 (40344436)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 俊之 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 主任研究員 (10248065)
金森 敏幸 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究チーム長 (50356797)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 細胞操作 / 光酸発生ポリマー / 未分化維持培養 |
Research Abstract |
主鎖をPMMAとする強酸型PAGポリマーをコーティングすることにより培養基材を作製、グリッドパターン照射よる細胞単層の細分化操作の検討を行った。MDCK細胞を用いて条件探索を行ったところ、波長350-450nmの光を線幅28-42μmの条件で十分量照射すると、2時間後に照射域の細胞が潰れて崩壊し、結果として細胞単層が切断されることが見いだされた。その後5分間コラゲナーゼ処理を行ってから、表面に培地を吹き付けることで、細分化された細胞の単層シートをセルクランプとして培養基材から剥離、それらを別の培養ディッシュに回収できることが実証された。 また、回収直後のセルクランプ数および18時間後の生着コロニー数を解析した結果、グリッドパターン照射によって細胞単層から切り出されたセルクランプのほとんどが、十分なviabilityを維持した状態で回収され、元の切り出し数に対して80%を越える割合でコロニーとして生着率する操作条件が見いだされた。投影パターンによって切り出し単位の面積を変えることにより、翌日のコロニーサイズを制御できることが明らかになった。 さらにこの手法を、ヒトiPSコロニーの継代操作に必要な細分化プロセスに適用、実際に細胞単層が揃ったサイズに細分化され、継代後も未分化状態を維持したまま、コロニーに増殖することが確認された。これらの実験結果より、マイクロパターンのプロジェクションによって、足場依存性細胞の細胞単層から、任意のサイズに揃ったセルクランプが、viabilityを大きく損なうことなく作製できることが実証された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強酸型PAGポリマーを用いて、制御光による接着性低下を含まないスキームで、細胞単層を細分化する技術については、MDCK細胞に限ってであるが生存率80%の回収を達成、未分化維持培養の自動化が期待されるヒトiPSの未分化維持継代への応用が実証された。これらはいずれも研究計画において最終年度までの実現を掲げた達成目標である。 一方、弱酸型PAGポリマーの開発については、鋭意検討を進めているが、想定したアルデヒドを含む構造が、モノマーの重合反応を阻害することが判明、合成には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
弱酸型PAGポリマーの開発については現在、材料ポリマーへの弱酸型PAG基の導入による合成法に切り替えて、条件探索を進めているが、今後も難航することが予想される。一方で、強酸型PAGポリマーによる細胞操作については、上述の通り、当初計画以上の進捗がみられ、有用な知見が集約されるに至っている。これらに基づき、強酸型PAGポリマーと他の機能性ポリマーを組み合わせることにより、細胞殺傷や単層切断のみならず、接着細胞の選択剥離をも実現するスキームについても、併せて検討を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付決定額が計画額から減額されたため、全計画期間にわたって停滞なく研究を遂行すべく支出を見直した。交付申請時に計画額より少ない額を計上していた実験補助員の派遣費の支出をさらに減じた。計画時、初年度購入を予定していたクロマトカラムは、申請後、本研究開始前に更新したものが、本研究にも使用できる状況にあったため、本年度内の購入を差し控えた。また、計画していたpHモニター蛍光分子を用いた測定について、申請後、本研究開始前に予備検討を行った結果、この分子自体の蛍光が、光照射によって影響を受けることが判明した。モニター分子の蛍光をプレートリーダーで測定することでの発生プロトン定量を保留するに伴い、初年度に予定していた測定用フィルター購入を差し控えた(現在別の方法によって極微量の発生プロトンを定量する方法を探索中)。 本年度以降、計画時に予定していた実験補助員の派遣費がフルにかかる予定である。初年度繰り越し金の効率的な使用および進捗状況に応じた購入物品の精査により、資金不足による停滞を回避し研究を遂行する。
|
Research Products
(8 results)