2014 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎骨盤リズムの動作解析によるヒップスパインシンドロームの病態解明と治療法開発
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25282159
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
緒方 直史 帝京大学, 医学部, 教授 (10361495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 信彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80251263)
中原 康雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80595968)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動作解析 / 腰椎 / 股関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
腰椎の可動性について三次元的に計測することで、Hip Spine Syndromeの病態がより明らかになることが期待され、また多くの脊椎・股関節疾患での両関節の動きの計測に応用することが可能となる。今回、三次元動作解析を用いた腰部運動の新たな計測法を開発し、この新規マーカ貼付法を用いることで詳細な腰部運動の計測が可能となり、腰椎と骨盤の連動した動きである、腰椎骨盤リズム(Lumbo-Pelvic Rhythm;以下LPR)の変化を、健常者と変形性関節症患者ならびに脊柱側弯症患者を対象に三次元動作解析法を用いて詳細に分析してきた。 当該年度では以下の検討を行った。1.三次元動作解析法を用いた健常若年成人の様々な運動時におけるLPRの解析。三次元動作解析法を用い健常若年成人を対象にさらなる計測を行い、30名ほどのデータを解析した。計測システムを構築した後、股関節や脊椎に既往のない若年成人30名を募集し、各々立位での前・後屈、側屈、回旋、歩行時の動作を三次元動作解析装置を用いて計測した。得られたデータから、股関節に対する腰椎前弯角の相対的な角度変化(LPR=腰椎前弯角/股関節角度)を算出し、動作の時間軸で検討した。2.健常高齢者でのLPRの解析ならびに加齢によるLPR変化の比較検討。高齢者を対象に(65歳以上)、同様にして立位での前・後屈、側屈、回旋、歩行時の動作を三次元動作解析装置を用いて計測した。15名ほどの解析を行った。3.変形性股関節症、変形性腰椎症ならびに側湾症患者における様々な運動時の三次元動作解析法を用いたLPRの解析。これ3疾患の手術目的に入院してきた患者を対象に、立位での前・後屈、側屈、回旋、歩行時の動作を三次元動作解析装置を用いて計測した。各々5名を対象に、計測を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腰椎の可動域を計測するために新たに開発した三次元動作解析を用いた計測法が、再現性、信頼性ともに他の計測法以上に有用に腰椎の可動域を計測できることは明らかとなり、現在変形性股関節症や変形性腰椎症ならびに側湾症の患者さんを対象に、その腰椎の可動域を三次元動作解析法を用いて計測しており、同時に股関節の動きも計測し、腰椎前・後屈時の股関節の動きを同時に計測し、リアルタイムでのLHR(Lumbar-Hip Ratio)を測定している。現在、変形性股関節症で人工股関節置換術の手術を行った患者は20名ほど計測しており、変形性腰椎症の患者では10名、側湾症では10名での計測が終了しており、それぞれLHRを算出してデータ解析を開始している。 これまでは健常者を対象にしたパイロット的要素の強い計測であったが、今後はより被験者数を増やすと同時に、変形性股関節症や変形性脊椎症をもつ患者での計測に移り、腰椎あるいは股関節の動きに制限のある患者での計測により、疾患ごとの腰椎の動きやLHRの特徴を明らかにしていくことを目指している。また、高齢者のバランス障害と運動器疾患の評価にも応用できると考えており、高齢者でのロコモティブシンドロームなどでバランス障害を有する高齢者の腰部と股関節の運動を評価し、動作中のどのような関節の動かし方に問題があるのかを明らかにすることが可能になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、変形性股関節症、変形性腰椎症ならびに側湾症の症例の計測を行ってきたが、引き続き計測を行い、症例を増やしてく。同時に、高齢者のボランティアを募り、バランス能力や筋力が低下している者も対象者として計測し、LHRを算出することで、病的に股関節や腰椎の動きが悪い症例のみならず、高齢者でのLumbo-pelvic Rhythmの計測を試みていく。さらに当科では、平成24年11月より下肢用ロボットスーツHAL(CYBERDYNE社)の導入が確定しており、このロボットで被験者に股関節可動域制限を施し偽陽性変形性股関節症患者を再現することができ、制限の度合いを軽度から重度へ変えることにともなう動作中のLPR(脊椎への影響)を計測することが可能である。それにより、実際の患者に起こるLPR破綻を疑似的に再現し、HSS発症のメカニズムを証明することが可能である。平成27年度はHALも用いて三次元動作解析法にて可動域を計測していく。 これらのデータを集め、総合的な考察を加え、最終的にHip Spine Syndromeの解明につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
計測患者の対象者が年度計画時より少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度と平成26年度と合わせて、対象患者数を増やし、計測数を計画通りの対象者に合わせて計測する。
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