2013 Fiscal Year Annual Research Report
車いす利用者を想定した支援機器等の開発・評価を目的とするダミーの研究
Project/Area Number |
25282181
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
Principal Investigator |
中山 剛 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究室長 (90370874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾形 邦裕 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 流動研究員 (40641436)
小野 栄一 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究部長 (80356732)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生活支援技術 / 可変形状ダミー |
Research Abstract |
本研究の目的は車いす利用者を想定した支援機器等の研究開発や評価に利用できるダミー作成である。障害者の特徴(動き、姿勢、形状)を模擬でき、長時間座位での排泄を支援するクッションや排泄用シャワーチェアの評価、生活空間の評価、車いすを漕ぐなどの動作を妨げないか否かの衣服のリアル着装シミュレーション、高齢障害者の衣類の着脱の負荷など、支援機器等の研究開発や評価にある程度汎用性を持って利用が可能なセンサを組み込んだ従来にないダミーを作成する。 研究計画では当該年度において、ダミー作製に必要な脊髄損傷者の体形形状データの収集(ハンディ3次元スキャナーと人の手採寸で)、姿勢と体型の変化に適応する外装変形機構の基本設計、ダミー上肢帯部の試作、臀部の機構の設計の検討、臀部の外装部の素材の選定の5つを実施項目としていた。当該年度の目標を達成するため、ハンディ3次元スキャナーを利用して健常者10名ならびに脊髄損傷者(頸髄損傷者を含む)4名の臀部がシートに接触していない状態での臀部形状と座位姿勢(シートに接触して変形した状態)の臀部形状の計測とデータ解析を行った。同じく健常者10名ならびに脊髄損傷者(頸髄損傷者を含む)4名における下腿長や座高など各種身体寸法データを手採寸で収集した。計測したデータを元にして姿勢と体型の変化に適応する外装変形機構の基本設計を行い、ダミー上肢帯部を製作した。更に臀部の機構の設計の検討を行い、弾性体を実装した臀部機構の基本設計を行った。臀部の外装部の素材の選定を行い、内部をゴム、ウレタン素材、人肌ゲルの積層タイプを第一候補として選定した。また、車いすや排せつ用車いすにおける座位姿勢での臀部の変形と臀部に掛かる外力と応力分布ならびに褥そう(床ずれ)のリスクに関する情報を収集し、検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の当初に立てた研究実施計画における5つを実施項目に関して当初の予定通りに遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までにダミーロボットの上半身の開発を行った。そこで、今年度は下半身の開発を行う。ダミーロボットの下半身では体型変化及び環境からの外力による変形(柔らかさ)を再現する機構を実現することを目指す。ダミーロボットの下半身は人の腹部に相当する部位、人の臀部から脚部に相当する部位がある。腹部には胸椎と腰椎の間に1軸と骨盤に3軸の計4自由度を有する。これに加えて腹部の変形機構により、多様な体幹姿勢と体型再現を目指す。臀部(大腿含む)は座面と接触することで大変形を起こす。この時に、臀部にかかる負荷を計測することで褥瘡リスクの評価が可能になると考えられる。これを実現するために、ダミーロボットの臀部は人の骨格に相当する堅い構造体と脂肪や筋肉に相当するやわらかい部位を有する機構とする。また、柔らかい部位には空気圧ラバーを導入することで環境に柔軟に適応可能な体型変形機構を実現する。また、股関節には2自由度、膝に1自由度を有する脚部を持つことで、多様な足の姿勢も再現する。最後に、開発したダミーロボットの下半身と前年度に開発した上半身を統合する。 病院の医師、理学療法士、作業療法士、看護師からの意見に基づいて、自律走行排泄車いすを製作する。これは次年度にダミーロボットを用いて評価を行う。 座位による臀部にかかる負荷のシミュレーションを行うために、人の臀部形状の計測と解析を行う。これによって、座位によって臀部がどのように変形するかをモデル化する。これまでに健常者10名と脊髄損傷者4名のデータを計測した。継続して脊髄損傷者のデータを取得し、データの解析を行う。この解析結果はダミーロボットの設計にも活用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ダミー作製に必要な脊髄損傷者の体形形状データ収集の際、年度当初は所属機関の遠方地での計測も検討していた。重度の障害のある被験者の募集をしたところ、近郊から予定していた人数の被験者が集まったため、旅費が当初予定よりも減ったため。 平成26年度でも重度の障害のある被験者の計測を継続する予定であり、主にそのための旅費として使用する予定である。
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