2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25282184
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
定本 朋子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (30201528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 内頸動脈血流量 / 外頸動脈血流量 / 超音波法 / 動脈血二酸化炭素分圧 / 動脈血圧 |
Research Abstract |
性ホルモンは、生殖器官だけでなく、他の諸機能に重要な作用をもたらすといわれる。特に脳循環調節は性ホルモンの影響を受け易いとされている.しかし安静時および運動時における脳血流動態に、性差および月経周期がどのような影響を及ぼすのかについてはよく知られていない。本年度は、今後の研究基盤を整備するために、次の2課題について検討した。 <課題1>正常月経である3名の女性被験者を対象にして、月経周期に伴う安静時の内頸動脈と外頸動脈における脳血流量の変動を計測した。また、卵胞早期において3段階負荷(25%, 50%, 75% VO2peakで各5分間)の自転車運動時の内頸動脈血流量を予備実験として計測した。安静時の内頸動脈および外頸動脈の血流量は、卵胞早期の値に比較すると、卵胞後期および黄体期で高い傾向にあることが示された。このように安静時血流量が月経周期に伴って変動する可能性が示されたため、今後多くの被験者を対象として検証が必要となった。運動時の内頸動脈血流応答については、基礎データであるため、次年度以降の成果と合わせて比較することとした。 <課題2>性ホルモンが関与する脳血流調節因子として血圧と動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の変動を本研究では仮定した。そのたるめ、これらの因子を実験的に変える手法を確立し、その際に脳血流計測が正確にできるかどうかを検討した。検証の結果、①新規導入したチルトテーブルによる体位変換時の血圧変動と脳血流量を同時計測ができることを確認した。また、②通常条件(normocapnia:CO2=0.04%)、高炭酸条件(hypercapnia:CO2=6%)、 低炭酸条件(hypocapnia)の3つの呼吸条件により、二酸化炭素濃度の変動に対する脳血流量の反応性(CO2 reactivity)測定ができることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
<課題1>において、予定よりも遅れが生じた。予備実験の段階で脳血流計測に必要な超音波画像診断装置が故障した。そのため、新しい画像診断装置の導入をするまでの間、内頸動脈と外頸動脈の同時血流計測ができず、1台の装置を用いて同一実験を繰り返す必要があった。このようなことから、被験者は4~5名程度と考えていたが、3名の計測にとどまった。<課題2>の実験環境の構築については、計画どおりに進められた。
|
Strategy for Future Research Activity |
故障した機器は修復できないものであった。そのため、超音波画像診断装置を新規購入したため、今後は予定通りの研究が実施できると考えられる。また、実験のできなかった時期に、正常月経を有する被験者を広く募集し、正常月経であるか否かの確認を複数の被験者について行った。事前の基礎体温記録(2か月間)も取得している。したがって今後の実験は円滑に進められると考えている。 今後の実験では、最初に、安静時の脳動脈血流にみられる月経周期変動を確認し、その結果を基に、計測すべき月経周期のポイントを決定して、運動時および調節因子などの実験を行うようにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
超音波画像診断装置が故障したため、予定した実験が期間内に遂行できなかった。そのため、消耗品や謝金の一部経費(185258円)が残り、次年度に繰り越すこととなった。 検討できなかった被験者の実験を、平成26年度に組み入れて速やかに行うようにする。既に対象となる被験者の参加承諾と事前測定が行われているので、円滑な研究ができると考えている。また繰越金はそれらの実験に充てる。
|