2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25282189
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中込 四郎 筑波大学, 体育系, 教授 (40113675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 壮 岐阜大学, 教育学部, 教授 (00115411)
中島 登代子 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (60325818)
奥田 愛子 びわこ学院大学, 教育福祉学部, 准教授 (70556000)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臨床スポーツ心理学 / アスリート / 原風景 / コツ獲得 / 心理療法 / 心理サポート |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は主に以下のような研究成果を得た。 1.心理サポート事例の分析:競技期後半にさしかかったあるアスリートの「夢」を介した心理療法の記録を分析検討した。本事例は4年半の間に143回の面接が行われ、80個余りの夢が報告された。ここではアスリートの心理サポートにおける「夢の治療的位置づけ」「自分らしさの追求:個性化」「競技引退のテーマ」といった3つの観点から討議がなされた。2.アスリートの原風景:わが国のトップアスリートたちが著した自伝本33冊を分析資料として、その中から彼らの原風景を読み取り、その特徴および後年の競技スポーツとの関わりにおける意味を検討した。彼らの原風景の形成は極めて早期であり、そこでは運動要素を含んでいることを特徴としていた。また、後年の競技への取り組みやアスリートとしての特徴と原風景の語りの内容とにイメージレベルでの重なりが認められた。3.アスリートのコツ獲得:調査面接資料の分析を通して、コツ獲得におけるプロセスモデルを作成した。また、コツ獲得後のパフォーマンス面における変化は、彼らの内面の変化(主体性の涵養、競技世界における自己実現、コツ獲得後の取り組みにつながるベースの形成)をもたらせていることを明らかにした。4.臨床スポーツ心理学研究会の結成:臨床スポーツ心理学に関心のある者に呼びかけ、57名の会員登録がなされ、その中の27名が参加し、岐阜大学サテライトキャンパスにて第1回の研究会が行われた。そこでは2つのアスリートの臨床心理相談事例の検討そして「質的研究の方法と課題」をテーマとしたレクチャーが行われた。本研究会の結成は、今後、「臨床スポーツ心理学」を展開して行く上で重要な交流の場となって行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の最終年度にフォーラムあるいはシンポジウム開催を予定しているが、それに先行して本年度は60名弱の会員からなる「臨床スポーツ心理学研究会」を結成し、第1回目の研究会を開催することが出来た。また、中込(2013)そして鈴木(2014)は臨床スポーツ心理学に関わる単著を出版することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、原風景、コツ獲得、スポーツ傷害の克服・回復過程等の研究資料の収集をはかって行く。また、競技力向上や実力発揮(現実適応)と内的成熟(個性化)の関係性を明らかにし、アスリートの心理サポートにおけるカウンセリングアプローチの有効性を明らかにして行く。
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Causes of Carryover |
アスリートの原風景調査において、当初の計画では、わが国の代表選手として活躍経験のある元アスリートを対象にした面接調査を行う予定であったが、本年は彼らの著した自伝本の分析で代替可能であると考え、調査に係る謝金や旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
元トップアスリートだけでなく、双生児アスリートの原風景に関わる面接調査を実施する予定であるため、その調査費用に充てる。
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Research Products
(13 results)