2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25282189
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中込 四郎 筑波大学, 体育系, 教授 (40113675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 壮 岐阜大学, 教育学部, 教授 (00115411)
中島 登代子 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (60325818)
奥田 愛子 びわこ学院大学, 教育福祉学部, 准教授 (70556000)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臨床スポーツ心理学 / アスリート / 心理サポート / 自伝的記憶 / コツ獲得 / ソーシャルサポート / スポーツカウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に以下のような研究成果を得た。 1.アスリートの心理サポート事例の分析:中込・鈴木が編著者となり、「スポーツカウンセリングの現場から:アスリートがカウンセリングを受けるとき」(道和書院、2015年8月)を出版した。本書はこれまでの研究成果の一部をまとめたものと位置付けられ。2.アスリートの原風景:アスリートの原風景やスポーツ原体験を中心とした自伝的記憶について、一卵性双生児アスリートより研究資料の収集を図り、特に後年、異なる歩みあるいは競技水準を示した者での自伝的記憶の差異について比較検討を行った。その結果、後年の競技への態度や意欲における自伝的記憶の連続性を確かめることができた。3.アスリートのコツ獲得の持つ意味:元プロ野球選手のコツ獲得過程に関わる面接資料を手掛かりに、禅十牛図における「悟り」や「真の自己」に至る禅修行過程とアスリートのコツ獲得過程との対応を試みた。その結果、1)コツ獲得における内的必然性、2)コツ獲得における「自己投企」、3)コツ獲得後の「揺らぎのない自己」といった側面において、両者間での意味的重なりを認めることができた。4.受傷アスリートのソーシャルサポート:負傷頻発事例と括られたあるアスリートの心理臨床面接記録の分析を通して、ソーシャルサポート享受による対処行動の変容過程を明らかにした。その結果、サポート提供者が「旧環境」から「新環境」へと移行していき、その変化と同期して痛みの訴えや軽減、そして対処行動での変化を認めた。5.臨床スポーツ心理学研究会:昨年に引き続き、臨床スポーツ心理学に関心のある者たち36名が参加して、2つのアスリートの相談事例の検討(各2.5時間)そしてアスリートの心理サポートの変遷について中込がレクチャー(2時間)行い、臨床スポーツ心理学における研究対象ならびに研究方法について理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中込・鈴木の編著者による「スポーツカウンセリングの現場からーアスリートがカウンセリングを受けるとき」(道和書院、2015)の出版を通して、本研究課題である「臨床スポーツ心理学の展開」の成果を公開することができた。また、申請書に記載したアスリートの自伝的記憶の特徴やアスリートのコツ獲得に関わる内的変容、ほかについてデーター収集、分析など、計画どおりに実施することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28度は研究計画の最終年度にあたることから、研究成果のまとめを主要な課題としている。まとめの一つとして「アスリートのこころに添う」(仮題)とのタイトルで成果のまとめを計画しており、これまでの研究成果を広く問う予定である。その他、平成27年度に引き続いて、アスリートの相談事例の分析、自伝的記憶、特に、コツ獲得の課題については、世阿弥の伝記資料を分析対象として、能の極意(コツ)の獲得と同期した世阿弥の内的変容との対応について検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画していた調査用紙や研究成果発表等に関わる資料作成ならびに面接調査に対する謝金の支出が計画よりも安価であったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度7月に開催されるオーストアでの国際学会(ECSS2016)発表のための出張旅費ならびに、10月に岐阜市にて第3回臨床スポーツ心理学研究会を開催予定であり、そのための旅費、謝金の一部としても使用する予定である。
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Research Products
(17 results)