2014 Fiscal Year Annual Research Report
複雑マクロリド天然物を構造基盤とする新規生体機能分子の創製と機能解析
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25282228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 誠 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80235267)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋天然物 / マクロリド / 全合成 / 生体機能分子 / 機能解析 / アンフィジノリドN / ゴニオドミンA / ポリカバノシドB |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋マクロリド天然物の中には、特異な作用機序で強力な細胞毒性や細胞増殖抑制作用を示すものが見出されており、新たな抗がん剤リード化合物や生命現象の解析・制御のためのツール分子として大きな期待が寄せられている。本研究では、強力かつ重要な生物活性を示す複雑なマクロリド天然物を研究対象として、独自の合成戦略に基づいてグラムスケールでの供給を実現する実用的合成経路を確立し、全立体配置の確定を行う。さらに、詳細な生物活性の評価と人工類縁体の合成と構造活性相関研究を通じて、新しい生体機能分子の開発と機能解析を目的とした。 アンフィジノリドNの合成研究:官能基選択的なSharpless不斉ジヒドロキシ化と続く立体特異的環化によるテトラヒドロフラン環の構築、Horner-Wadsworth-Emmons反応によるフラグメント連結を鍵反応としてアンフィジノリドNのC13-C29フラグメントの立体選択的合成を達成した。エステル化によるフラグメント連結、Tebbe反応によるメチレン化と閉環メタセシスによるジヒドロピラン合成を利用しC11-C29モデル化合物の新たな合成経路を開発した。また、Evansアルドール反応とKatsuki-Sharpless不斉エポキシ化用いて合成したC1-C7フラグメントとC8-C13モデルフラグメントとのアルドール反応による連結を種々の条件で試みたが、立体選択性に課題を残した。 ゴニオドミAの合成研究:分子右半分に相当するC26-C36フラグメントの従来の合成経路を改良・最適化することにより、グラムスケールでの供給を実現した。 ポリカバノシド類の合成研究:清岡らの不斉アルドール反応を利用した上部C9-C16フラグメントの短段階合成経路を開発した。さらに、下部フラグメントC1-C8フラグメントとの鈴木-宮浦反応による連結とマクロラクトン化を経て、16員環マクロラクトン骨格の合成を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンフィジノリドNの合成研究では、鍵工程の一つであるフラグメント連結におけるアルドール反応の立体選択性に課題を残したものの、新たな合成戦略によるC11-C29モデルフラグメントの合成経路を開発した。ゴニオドミンAの合成研究では、分子右半分に相当するC26-C36フラグメントの従来の合成経路における課題を解決し、グラムスケールでの供給が可能となった。ポリカバノシドBの合成研究では、上部C9-C16フラグメントの短段階合成経路を開発し、これにより重要中間体となるマクロラクトン骨格の供給が可能となり、天然物を含めた類縁体合成の道が拓けた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度のに引き続き、アンフィジノリドN、ゴニオドミンA、ポリカバノシドBの効率的な全合成の達成を含めて研究を進展させる。アンフィジノリドNの合成研究では、立体構造の確定のための立体異性体合成を視野に入れた柔軟な合成経路の開発を継続する。ゴニオドミンA、ポリカバノシドBについては、早期に全合成を完成させ、全立体配置の確定を行うととともに、特に後者においてはアグリコンを含めた類縁体合成と詳細な生物活性評価へと展開する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の全合成研究において新たな合成戦略、短段階合成法を開発したため、当初予定した高価な金属試薬,配位子類の使用を最小限に抑えることで、研究を効率的に推進したことにより発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求額と併せて、平成27年度の研究を円滑かつ強力に遂行するために効率的かつ適正に使用する。
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Research Products
(17 results)