2014 Fiscal Year Annual Research Report
化学的および進化工学的手法を駆使したCa2+チャネル活性制御法の開発に関する研究
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25282238
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清中 茂樹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90422980)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / サブタイプ / イオンチャネル / 活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までは、電位依存性Ca2+チャネルに着目して研究を遂行した。今年度は同様にCa2+チャネル活性を有し、神経活動に必須なイオンチャネル型グルタミン酸受容体に着目して研究を遂行した。イオンチャネル型グルタミン酸受容体には複数の遺伝子ファミリーが存在するが、本年度はAMPA型グルタミン酸受容体の主なサブタイプであるGluA2を標的タンパク質として選択した。まず、過去に報告されたAMPA受容体の構造解析結果を基に、PCR法を用いた遺伝子変異導入法により、活性化に必要な遺伝子変異を加えたAMPA型グルタミン酸受容体遺伝子ライブラリーを構築した。作製した各種変異体に関しては、Ca2+蛍光プローブであるFura2を用いたCa2+イメージングを用いて、Ca2+チャネルとしての活性を評価した。変異体を活性化しうる化合物としては、昨年度同様に金属錯体に着目した。redox inactiveな金属錯体を新たに複数有機合成した。 上記で得られたAMPA受容体変異ライブラリーと金属錯体を用いて、人工的に活性化できる組み合わせのスクリーニングを行った。その際にも、Fura2を用いたCa2+イメージングを用いた。スクリーニングの結果、2種の変異体において、金属錯体の添加に伴いグルタミン酸の親和性を約60倍向上させることができることを見いだした。この結果は、新たなアロステリックサイトの構築を意味する。今後は、錯体構造の最適化に加えて、活性化のメカニズム解明に着目して研究を展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク標的としては電位依存性Ca2+チャネルからCa2+透過性のイオンチャネルであるAMPA型グルタミン酸受容体に変更したものの、当初の計画どおり、化学的および遺伝子工学的な手法を用いることでイオンチャネルの人工的な活性制御に成功しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果から、Ca2+透過性のイオンチャネルであるAMPA型グルタミン酸受容体の人工的な活性制御方法の開発に成功した。今後は、錯体構造の最適化に加えて、活性化のメカニズム解明に着目して研究を展開する。 また、複数のイオンチャネル型グルタミン酸受容体が存在する神経細胞において、狙った受容体を選択的に活性化できるかどうかの検討も行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、タンパク質標的を変更したこともあり、多くの研究費が必要になることが想定され、昨年度からの繰り越し分を使うことを予定していた。実際に多少の繰り越し分を使うこととなったが、来年度の培養神経細胞の実験でさらに研究費が必要であることが想定されるので、残り分を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、錯体による活性化のメカニズム解明から、神経細胞を用いた活性制御まで実験手法が多岐にわたる。特に培養神経細胞の実験に新たな経費が必要となるので、その実験において活用する。
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