2013 Fiscal Year Annual Research Report
医療技術の選択とジェンダー――妊娠と出生前検査の経験に関する調査
Project/Area Number |
25283017
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 摂子 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (60647254)
田中 慶子 公益財団法人家計経済研究所, その他部局等, 研究員 (50470109)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 妊娠 / 出生前検査 / 超音波検査 / 母体血清マーカー / 羊水検査 / 意思決定 / 経験 / 情報 |
Research Abstract |
世界各国において出生前検査が実施されており、その検査技術は急速に進歩している。2013年4月より、新型出生前検査とよばれる従来の検査よりも危険性が低く、一定の条件下では精度が高いとされる技術の臨床検査が日本でも開始された。本プロジェクトでは、現状と経緯を文献資料によって把握したうえで、近年に妊娠を経験した女性を対象として、その妊娠経験と出生前検査の経験を尋ねる詳細な質問紙調査を実施した。 質問紙は、妊娠経験と出生前検査の経験、意識、フェースシートなどの質問からなり、2003年に実施した調査と同じ質問を含む(A4版11頁)。2013年7月に都内の保育園12か所にて891票、子育て支援施設2か所にて67票の合計958票を配布し、無記名で郵送回収した。397(353+44)票が回収され、回収率は41.4(39.6+65.7)%、有効回収率は39.5(37.9+59.7)%だった。超音波検査は99%以上の人が受けていたが出生前検査という意識が弱かった。それ以外の出生前検査を受けた人はのべ人数で、NT検査 31人、母体血清マーカー検査35人、羊水検査24人(うちNT検査と羊水検査の両方6人、母体血清マーカーと羊水検査の両方6人)、絨毛検査、着床前検査、新型出生前検査(NIPD)が各1人、その他の検査が3人だった。現在、妊娠経験、検査を受けた理由と受けなかった理由や意見感想などの集計結果を中間報告書としてまとめ、質問紙の配布協力施設に送付する準備をしている。 さらに、出生前診断の世界的な動向と日本の動向の情報提供と関心の喚起のために2013年11月2日にニューヨーク大学のRayna Rapp教授と国立成育医療センターの左合治彦医師を招き、本プロジェクトの中間報告も含めた公開講演会を開催した。 なお、本調査の実施は、明治学院大学社会学部社会学科調査・研究倫理審査委員会の承認を得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目には質問紙調査の実施と公開講演会の実施を中心に進めた。質問紙調査は配布も回収も計画通りかそれ以上の成果を得られた。ニューヨークから招いた講師と日本の新型出生前検査の臨床研究の中心である医師を招き、本研究の中間報告も含めて開いた公開講演会は150名の参加を得て実施できた。ただし、質問紙の回答の集計は自由回答欄の記述が予想よりも多く、そのデータの整理に時間がかかって、予定していた医療者への聞き取り調査の開始が遅れた。それでも1年目に開始できた。当初から聞き取り調査は2年目にも継続実施を計画しているので、おおむね計画どおりに進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目は医療者に加えて、検査を受けるか受けないかを決める立場にある男女や障碍のある子どもを育てている方、障碍のある方を対象に聞き取り調査を進める。また、インターネット調査によって、出生前検査を受けた人たちを50人を目標に、検査を受けることにした理由やその基になった情報、医療者との関係、家族関係等を量的分析できる内容で尋ねる計画を立てている。 また、医療者、一般の男女、障碍のある人、障碍のある子どもを育てている人へのインタビューを進める予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
公開講演会で招聘した講師の海外旅費が予定よりも安価になった。また成果発表のための海外出張を予定していたが、海外での招聘講演になったため国外旅費に剰余が生じた。 医療者への聞き取り調査の実施件数が予定よりも少なく、旅費と謝金に剰余が生じたが、これは2014年度に使用する。 医療者への聞き取り調査の実施件数が予定よりも少なく、旅費と謝金に剰余が生じたが、これは2014年度において予定通りに使用する。また、国外旅費にて生じた剰余分については若手研究者が国際学会等で報告できる機会を積極的に設けて使用したい。
|
Research Products
(11 results)