2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25284010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐久間 秀範 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90225839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉水 千鶴子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10361297)
斉藤 明 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80170489)
吉村 誠 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (60298106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 安慧 / 堅慧 / スティラマティ / 瑜伽行唯識思想 / 仏教 / 国際研究者交流 / ドイツ:中国 |
Research Abstract |
平成25年度は基盤研究(B)としてスティラマティ(=安慧)の思想の総合的研究を実際に開始したことを国内外にアピールするために、平成25年7月6日に東京の駒澤大学で行われた仏教思想学会第29回学術大会において「註釈家スティラマティは一人か?」というタイトルで発表を行った。その内容を「註釈家スティラマティは一人か?」(『仏教学』第55号、東京、2013、pp.59-86.) として論文を公にし、関係のある国内外の多くの研究者にPDFで配布した。 一方、研究実施計画に従い共同研究のための四つのチームを組織した。第一チームはインド瑜伽行唯識思想に関する校訂テキストを中心に、インドにおける安慧の思想内容を吟味することとする。第二チームは新たに発見されている写本の校訂作業とともに、安慧に帰せられる文献を内容面と文体とから真作か否かと安慧独自の思想内容を抽出することとする。第3チームは玄奘の弟子基の主導で導かれた安慧像を唯識教学の諸文献から再吟味することとする。第4チームは学界でも初の試みとなる『大乗中観釈論』の本格的研究を開始することとする。 この四つのチームによって共同研究を進めるために、平成26年度の4月に行われる全体会議、8月末の印度学仏教学会のパネルのメンバー、9月末の国際シンポジウムのメンバーを決めて準備を整えた。 またスティラマティの人物像を作り上げる重要ポイントとなる玄奘の『大唐西域記』など複数の旅行記や記録を吟味する目的で、現地調査を行った。今年度は5月に中国・敦煌において、まもなく実際の莫高窟を見ることが制限されるとの情報に基づき、急遽代表者一人で、最後のチャンスとして見ることのできる莫高窟は可能な限り見た。2月には代表者はナーランダー大学を中心に再度現地を見て回った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スティラマティに関する共同研究の開始のアナウンスを国内外に公表できたこと、共同研究の四つのグループそれぞれの具体的な研究として、東アジアの唯識教学については早速4月よりほぼ毎週筑波大学東京キャンパスで『仏地経論』を中心に研究会を行ったこと、写本関係ではメールで頻繁に連絡を取り合った他に7月には大谷大学と京都大学で関西地区の研究者と実際に面談して研究の進め方の打ち合わせを行ったこと、安慧『大乗中観釈論』については世界初めてとなる本格的な共同研究の始動を準備するため、これまでに個人的に準備等を進めてきた研究者を集めて、実際に作業を開始できる体制を年度末までにおよそ整え、パネルおよびシンポジウムにおいて一部門として発表者を複数名確保する状況を実現したこと、など平成26年度以降に計画している研究を進めるための体制が整ったことが大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
スティラマティ研究の四つのチーム(すでに校訂済みテキストを中心とするチーム、新たに発見された写本に基づくチーム、東アジアの唯識教学に関するチーム、安慧『大乗中観釈論』を扱うチーム)のそれぞれが個々に研究会として進めるとともに、相互に有機的に情報交換を十分に行えるように4月に全体会、8月末に印度学仏教学会のパネル、9月末に海外の研究者も招聘した国際シンポジウムを企画している。さらに、年度末に上記の企画を行う中で関心を寄せることになると期待される研究者を含めたワークショップをできれば年度末には行いたい。これとは別にスティラマティの人物像に大きな影響をもたらした玄奘の『大唐西域記』など複数の旅行記などの内容を、共同研究者の実際の身体感覚としてとらえるため、新たに9月にウズベキスタン、2月末頃にインド・ヴァラビーに現地調査を行うことにしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度に海外の研究者を招聘してシンポジウムおよびワークショップを計画していることと、現地調査として複数のメンバーでウズベキスタンおよびインド・ヴァラビーに行く計画を立てているため、平成25年度は支出を抑えたことが大きな理由。 4月全体会、8月末学会のパネル、9月末国際シンポジウムおよび年度末に企画予定のワークショップのための招聘費用と海外の現地調査の費用、および各研究チームで取り組む文献資料およびそれに必要な設備品等、そしてこれらの計画を実施するにあたっての人件費として支出する。9月のウズベキスタンと、2月のインド・ヴァラビーに、それぞれ4人のメンバーを選んで派遣するための旅費として支出する。
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