2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25284010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐久間 秀範 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90225839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉水 千鶴子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10361297)
吉村 誠 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (60298106)
斉藤 明 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80170489)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 仏教学 / 実践理論 / 教義理論 / 瑜伽行唯識理論 / スティラマティ / 安慧 / 堅慧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成26年度には平成26年4月25日に筑波大学東京キャンパスでメンバーほぼ全員の参加を得て第1回の全体会を行い、方針をまとめ、平成26年8月31日に武蔵野大学有明キャンパスで行われた日本印度学仏教学会で「新たな視点からのスティラマティ研究」と題してパネル発表を行い、平成26年9月27日に「註釈家スティラマティの実像へのアプローチ」と題して筑波大学東京キャンパスにおいて国際シンポジウムを行った。一連の共同研究において研究代表者が20年来暖めてきた「修行者の視点」を基軸に実践理論と教義理論という物差しでスティラマティの思想を測ることが受け入れられたことは大きな成果である。これは瑜伽行唯識派の諸論師の系統立てを行うに際して、彼らに帰せられる諸文献の内容が実践的か教義的かを基軸にすべきことを感じ取り、それを「修行者の視点」と表現したものである。平成26年10月21日にはハンブルクでSchmithausen教授とこの方針の内容吟味のための討論を行い、同22日にはZimmermann教授と平成27年度の計画を話し合い、平成26年12月9日から11日にハンブルク大学でZimmermann教授と平成27年8月に同大学で行うシンポジウム企画の打ち合わせを行なった。基軸となる「修行者の視点」を具体的に示す基準作りとして国内外の祈りや修行に関する事例を実体験として収集するために日本では修験道修行(出羽三山など)の場、海外では修道院(スロベニア)において実習もおこなった。また玄奘の報告『大唐西域記』がスティラマティの人物像を決める重要なポイントになってきたことを踏まえて、メンバーの中の佐久間他2名でクシャーン朝(現在のウズベキスタン)のサマルカンド、テルメズにおいて現地研修を行った。ヴァラビーへの現地研修は協力先との調整により平成27年度に行うことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が長年暖めてきた「修行者の視点」と実践理論と教義理論という尺度が共同研究者の間で認知されたことは大きな成果であり、予想より早い段階からこの方針で今後の研究を続けてゆくことができるのは、二年目の段階では十分な成果である。しかし個々の班のテキスト研究については、もともとかなりの時間を有するものではあるが、現時点では予想の範囲内にとどまっている。そのためにおおむね順調という表現が適切な進行状況と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究としては国内外の研究者と緊密に連携がとれているので、平成27年8月にハンブルク大学で行うシンポジウムや平成28年2月のインド・ヴァラビーで行う現地研修、日本の各修行の場での修行の実習、平成28年3月末に再びスロベニアの修道院において行う修行実習なども含めて諸企画を遂行することにする。平成27年秋に玄奘をテーマとして日本研究の中の仏教研究者との共同企画を実現に向けて推進してゆく。各班のテキスト研究は今までより研究を促進するために、研究代表者が直接それぞれの研究会に参加して進めることで、より大きな成果を期待して、今年度からはより積極的につくば、東京、京都で研究会を行うようにする。
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Causes of Carryover |
平成27年度にはドイツ・ハンブルク大学に複数の研究者を招聘してシンポジウムを行い、ハンブルク大学のNumata Hardcover Seriesの論文集のための日本語からの英訳依頼をする計画であり、これとは別にスティラマティの人物像に深く関わる玄奘をテーマとするシンポジウムを日本研究の中の仏教研究者とのコラボレーションとして海外からも研究者を招聘して行うことを計画し、またスティラマティの活動拠点とされるヴァラビーに複数のメンバーで行う現地研修ならびにスロベニアでの現地研修などを計画しているため、平成26年度の支出を抑えたことが大きな理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年7月末までに東京と京都を中心に各班の研究会を行う旅費および修行者の視点に必要な現地研修を行なう旅費、それに基づいて平成27年8月末にドイツ・ハンブルク大学で複数の研究者を招聘して国際シンポジウムを計画しており、また秋に玄奘をテーマとして筑波大学で海外からも複数の研究者を招聘してシンポジウムを行うことを計画中であり、また平成28年2月には複数のメンバーとインド・ヴァラビーの現地研修、平成28年3月末にスロベニアでの現地研修を計画しているため、それらの旅費として支出する。
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