2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本映画と日本文学との相関研究―戦後から1970年代までを中心に―
Project/Area Number |
25284034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 三春 北海道大学, 文学研究科, 教授 (80164341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 成美 立命館大学, 文学部, 教授 (70198034)
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 准教授 (80351758)
横濱 雄二 甲南女子大学, 文学部, 講師 (40582705)
友田 義行 信州大学, 教育学部, 助教 (40516803)
志村 三代子 二松學舍大學, 文学部, 非常勤講師 (20409733)
宮本 明子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (60633419)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 映画と文学 / 日本映画史 / 日本現代文学 / 日本アニメーション史 / 表象文化論 |
Research Abstract |
研究代表者・研究分担者全員による共同研究の開始にあたり、2013年6月22日に打ち合わせ会議を北海道大学東京オフィスで開催し、本年度以降の研究計画を策定するとともに、併せて第1回現代日本〈映画-文学〉相関研究会を開催し、研究メンバー2名の研究発表と5名によるラウンドテーブル(研究進捗状況報告)を行った。志村三代子が文芸映画における表現問題の一端を太宰治原作の映画『グッドバイ』と主演女優高峰秀子との関わりを中心に、また友田義行が勅使河原廣監督の映画『他人の顔』と未公開資料の面から解明した。 引き続き、第2回の研究会を12月7日に立命館大学において、第3回の研究会を2014年3月8日に北海道大学において開催し、それぞれ4名(うち2名は外部講師)、5名(同じく1名)の研究発表・講演を行うなど研究を活発に推進した。第2回においては横濱雄二が横溝正史原作の『本陣殺人事件』映画化に関する事情を、米村みゆきが宮崎駿監督『未来少年コナン』を近未来SFアニメとアニメファンの観点から論じた。第3回においては宮本明子が小津安二郎後期作品におけるユーモアについて、中村三春が豊田四郎監督の映画『或る女』を有島武郎の原作との関係において、志村三代子が「太陽族映画」の映画史的な意義について考察した。研究協力者として第2回に冨田美香氏・雨宮幸明氏、第3回に佐藤泉氏を招聘し、各専門知識の提供を得た。 研究代表者および研究分担者は、中国(長沙市)・台湾(新北市)・アメリカ(シアトル)・イタリア(ベネチア)・フランス(ストラスブール)などを含む国内外の学会・研究会・国際シンポジウムに多数参加し、積極的に研究発表や講演を行った。また、国内外の資料館・図書館等において、研究計画通りに調査を実施した。 研究会のホームページ(ブログ)を開設し、Twitterを運用して研究内容の発信に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)映画・文学相関の理論面の研究、および3)映画・文学相関の作家間の協働面の研究については、ほぼ計画通りの研究を遂行することができた。特に、研究打ち合わせ会議(1回)、共同研究会(3回)、国内外での学会・研究会・国際シンポジウムへの参加、国内外における映画・文学関係の資料館・図書館等における調査については、概ね完璧に達成してきている。 また2)映画・文学相関の媒体・資料・文献面の研究においても、これらの活動の中で相当程度に達成した。ただし、各種文献等に基づいて、戦後から1970年代までの文芸映画の基礎的一覧を作成する事項については、作業への着手が遅れ、十分な目録の作成には至らず、次年度以降の課題とせざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、国立近代美術館フィルムセンター、早稲田大学演劇博物館、立命館大学アート・リサーチセンター、京都文化博物館、日本近代文学館、国立国会図書館などにおいて、映像資料、映画・文藝雑誌・関連文献等の調査を続行する。 同じく、現代日本〈映画-文学〉相関研究会を開催し、共同研究を進展させる。すなわち、第4回(2014年6月、信州大学)、第5回(2014年9月、北海道大学)、第6回(2014年12月、甲南女子大学)を予定している。 これらの研究会には北海道大学・福島大学・立命館大学その他の研究者・大学院生なども研究協力者として参加させ、講演・研究発表の形で学術的知識の提供を受けて研究内容を精緻化し、調査・解明作業を発展させる。その他、国内外の学会・研究会・国際シンポジウムにおいて積極的に研究発表を行う。 また、海外における研究活動の主要な展開として、10月25日にフランス・パリの日本文化会館において、「川端康成の文学と映画」のシンポジウムを開催し、この研究課題について国際的な情報・意見交換と交流を深め、新たな視野を取り入れて発展させる。すなわち、中村三春(『雪国』など川端と映画との関わりを概説)、宮本明子(『有りがたうさん』など戦前期の川端と映画)、志村三代子(『千羽鶴』など戦後期の川端と映画)、米村みゆき(『伊豆の踊り子』など川端原作のアニメーション)、中川成美(女性文芸映画としての川端映画)の5名が参加し、発表やコーディネートを行う。さらに、既に立ち上げたホームページ(ブログ)およびTwitterによって、研究会やシンポジウムの予告と、プログラムほかの情報を随時Web上に公開し、研究成果を発信する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者中川成美(立命館大学)にあっては、平成25年度に予定していたフランスにおける調査のための海外出張が、体調および日程の都合により実施できなかったため。同じく宮本明子(早稲田大学)にあっては、平成25年度に国内で予定していた直筆資料調査が、先方の著作権継承者の死去に伴い実施できなかったことと、予定していたシンガポールにおける聞き取り調査のための海外出張が、先方の調査対象者の都合により実施できなかったため。同じく友田義行(信州大学)にあっては、東京・草月会館における資料調査の日程が合わず、出張できなかったため。その他の研究メンバーにおいては、購入を予定していた海外版DVDの納入の遅れ、および物品購入等における伝票処理の遅れなどの理由による。 研究分担者中川成美(立命館大学)にあっては、平成25年度に予定していたフランスにおける調査のための海外出張を平成26年度において実施する。同じく宮本明子(早稲田大学)にあっては、平成25年度に予定していた国内における直筆資料調査を、新たな著作権継承者と日程調整の上、平成26年度に実施し、またシンガポールにおける聞き取り調査を、調査対象者と調整の上、同じく平成26年度に実施する。同じく友田義行(信州大学)にあっては、東京・草月会館において平成26年8月をめどに資料調査を実施する。以上については、調査のための旅費支出として経費を使用する。その他の研究メンバーにおいては、購入を予定していた海外版DVDなどを含む物品購入等を、平成26年度において完了するために経費を使用する。
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Research Products
(37 results)