2013 Fiscal Year Annual Research Report
音楽分野における子どもを対象とした教育プログラムの構造分析に関する研究
Project/Area Number |
25284044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
赤木 舞 昭和音楽大学, 音楽学部, 講師 (40551213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 レイリ 早稲田大学, 商学学術院, 助手 (10636905)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音楽分野の教育プログラム / アウトリーチ / オーケストラ / 芸術政策 |
Research Abstract |
本研究は、国内外の主要な舞台芸術団体・機関がおこなっている子どもを対象とした音楽分野の教育プログラムを調査・分析することで類型化し、わが国の音楽分野の教育プログラムのあり方を考察およびモデル構築することを目的としている。平成25年度は、以下の研究をおこなった。 (1)文化庁「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」を中心に、舞台芸術団体(オーケストラ等)ならびに劇場・ホール等が実施する国内の教育プログラムに関する調査をおこなった。わが国における教育プログラムの発展の経緯を概観するとともに、現在の教育プログラムの実施状況を把握した。 (2)「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」の柱である「巡回公演事業」のうち、複数のオーケストラ、オペラ団体による公演を研究代表者および研究分担者が現地視察し、関係者にヒアリングをおこなった。また、(一財)地域創造が実施するアウトリーチ事業(公共ホール音楽活性化事業)および劇場が主体となって実施する教育プログラムの事例調査をおこなった。異なる地域、対象、人数による事例を視察することで、本研究の目的である音楽分野における教育プログラムの類型化およびモデル構築のために有用な基礎資料を得ることができた。 (3)米国ワシントンD.C.のジョン・F・ケネディ舞台芸術センターが主導している教育プログラムについての調査をおこなった。また、「International Society of Performing Arts (ISPA) 国際舞台芸術協会」(於:ニューヨーク)へ参加した。同国際会議を通じて、世界各国から集まる音楽関係者や教育プログラム関係者等と情報交換をおこない、特に英米のオーケストラおよび劇場等が実施する教育プログラムの実態について情報収集することができた。これにより、次年度以降に実施予定である海外の教育プログラムの現地視察のための事前準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に予定していた国内での事例調査の件数が当初の予定よりも若干少ないものの、おおむね実施することができ、研究を進めるための資料は順調に集められている。また、海外の事例についても国際会議等を通して情報収集をおこなうことができた。調査から得られた事例結果や資料の分析は進行中であるが、平成26年度に予定している海外調査をおこなうための準備は整っているため、引き続き計画どおり研究を進めていくことができるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果をふまえ、今後は海外(特に英米のオーケストラならびに劇場・ホール)における教育プログラムの現地視察およびヒアリング調査を中心におこなう。今後の研究の推進方策は以下のとおりである。 (1)先進的な取組みを試みる英米のオーケストラならびに劇場・ホールは、鑑賞型のみならず創造的かつ双方向型の教育プログラムを展開しており、専門的なスキルをもつ人材育成にも積極的に取り組んでいる。多様化する海外での教育プログラムの内容および構造を分析し、目的や対象に合わせた手法、それに伴う子どもへの効果を明らかにする。 (2)(1)の結果をもとに、わが国の事例との比較研究を試み、教育プログラムの類型化を図る。また、海外の手法を調査・分析することで、わが国の教育プログラムにどのように効果的に適用すべきか検討し、モデル構築の手がかりを探る。必要に応じて、国内の事例調査を引き続き実施する予定である。 (3)音楽分野の教育プログラムに関連する国際会議(「Classical NEXT 2014」(2014年5月開催)および「International Society of Performing Arts (ISPA)」(2015年1月開催))に参加し、教育プログラムをテーマとした分科会において研究発表をおこなう予定である。これらの会議を通じて海外における教育プログラムの現状と課題を把握し、事例調査研究から得た知見とともに実践的かつ理論的な考察を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外の調査の実施件数が当初の計画より少なくなってしまったことに加え、1箇所あたりの現地調査にかかる費用が想定していた金額よりも低かったことによる。 また、研究に関する書籍の購入数が予定より少なくなってしまった。 平成26年度に未実施分の国内および海外の現地調査をおこなう。また、研究内容と進度に沿って関連書籍等を購入していく予定である。
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