2013 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカン・ルネサンス文学における情動と身体ーアフェクト理論とその応用
Project/Area Number |
25284054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹内 勝徳 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (40253918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 勤 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10216731)
大島 由起子 福岡大学, 人文学部, 教授 (40168919)
稲冨 百合子 福岡大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50526514)
高野 泰志 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (50347192)
城戸 光世 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (10351991)
井上 間従文 一橋大学, その他の研究科, 准教授 (50511630)
古屋 耕平 和洋女子大学, その他部局等, 助教 (70614882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エマソン / ホーソーン / ソロー / メルヴィル / ホイットマン / アフェクト |
Research Abstract |
本研究は、アメリカン・ルネサンスの作家たちが、身体を中心とした関係性にどう向き合ったのかを、所謂「アフェクト理論」を発展・応用することで調査するものである。アメリカン・ルネサンスの作家、即ち、エマソン、ソロー、ホーソーン、メルヴィル、ホイットマン、ポーらの作品には、精神と身体の謎めいた関係や、主体と外界の一体化、モノに宿る生命の痕跡などが頻繁に描かれる。これらの問題は従来、ピューリタニズムやロマン主義的なミスティシズム、疑似科学の文脈で理解されることが多かった。本研究は、その発想を大きく転換し、彼らの文学を新たな観点から読み解くものである。 平成25年度は、まず、アフェクト理論を再構築し、その射程を近代全体に広げる。そのうえで、19世紀中葉のアメリカを、視覚文化や劇場文化が、印刷技術によってもたらされたリニアな表現構造を崩壊させた時代として定義する。また、博物学や身体医学、解剖技術などの科学分野の発展、そこから発想された人体実験的見せ物や蝋人形、催眠術などの大衆文化の隆盛、音楽文化の浸透、交通網の発展とそれによってもたらされた異人種の身体との出会いなどを重要な文脈として調査する。具体的にはジェーン・スレイルキルやシャン・ガイの著作を参考に、研究会を開き、調査結果を基に研究発表を行った。それによってアフェクト理論をより汎用性の高い概念として作家研究、作品研究に生かせることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究会や夏季合宿、学会発表などを通じてアフェクト理論への理解を深め、アメリカン・ルネサンス研究に生かすことができた。これは当初の年度別計画にそったものである。また、現代最高のアメリカン・ルネサンス研究者と言えるデイヴィッド・レノルズと連絡を取り、本研究の内容について意見交換を行い、拙論についても一定の評価をいただいた。現在は平成27年度の日本への招聘に向けて交渉を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、アメリカン・ルネサンス作品から、アフェクト的身体運動や情動の描写を抽出し、それと時代の文脈との関連を探る。それぞれの着眼点は以下のような形で展開していく。基本的な枠組みとしては、ロマンティシズムやピューリタニズムの伝統により自ら精神主義的な方向性で文学探究をしていた作家たちが、図らずも身体や情動の力に向き合わざるを得なかった事情に注目する。『緋文字』のパールは「A」の文字にこだわり、その意味も分からずに身につけることで成長した。ディムズデイルは、その説教の言葉が聴衆に通じない状況でありながら、その声色の豊かさが人を感動させる。一方で彼は罪の意識を深め、肉体に「A」の文字が浮かび上がったとされる。ここには、明らかに、思考や言語の意味とは別次元で働く、モノや肉体や音の影響力が抽出されている。メルヴィルは、片足のエイハブ船長に、激情や情動で理屈を越えたコミュニケーションを展開させ、それによってピークォッド号のクルーが一丸となる過程を描いている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現代最高のアメリカン・ルネサンス研究者デイヴィッド・レノルズに本研究の内容を照会し、招聘に向けて調整を行っているが、平成25年度や26年度ではスケジュール面や本人の意向などにより来日が難しいため、平成27年度に持ち越すことになった。そのため本研究の予算を平成27年度に重点的に配分できるようにした。 平成25年度の基金分予算を一部平成26年度に持ち越し、平成26年度の基金分予算をさらに平成27年度に持ち越し、デイヴィッド・レノルズ招聘の資金に当てる。この資金計画によって本研究計画の内容が影響を受けることはない。
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Research Products
(28 results)